日本清涼飲料研究会 第34回研究発表会 受賞者のご紹介 | インフォメーション・ご案内 | 全国清涼飲料連合会

日本清涼飲料研究会 第34回研究発表会 受賞者のご紹介

 日本清涼飲料研究会は11月21日に日本教育会館にて「第34回研究発表会」を開催しました。
 研究発表会では、授賞式を行い、昨年発表された研究発表課題から選考の結果、下記3題がそれぞれ賞を受賞しました。
 来年度以降も開催しますので、ぜひ当研究会会員の加入も含めて発表をご検討ください。

 ※各賞のタイトルをクリックすると、ご発表資料をご覧いただけます。

日本清涼飲料研究会賞

「非加熱滅菌を用いた無菌充填システム“GREEN ASEPTIC®”の実用化」

株式会社アセプティック・システム 技術開発部  早川 睦 氏

受賞理由

 本研究は、PET無菌充填の際のCO₂排出源であるUHT処理に寄らない、滅菌方法(中圧UVランプと除菌フィルターの組み合わせ)により、CO₂排出量を大幅に削減できるPET飲料製造工程を開発、実製造も実現した事例である。本研究では、特にUVランプの交換頻度も年1回でよい想定など大変実用的な点も考慮し、総合的に清涼飲料に関する科学技術の進歩に顕著な功績が認められる業績であることを高く評価した。

 今後、脱炭素化と省エネへの貢献と、カーボンニュートラル実現を加速する革新的なシステムとして大変参考になるものである。

 以上の理由により、本研究を日本清涼飲料研究会賞に値するものとして推薦する。

インタビュー

○今回の受賞研究で工夫された点や苦労された点を教えてください。
早川:
 グリーンアセプティック®は、水を紫外線とフィルターで非加熱滅菌し、シロップを加熱滅菌した後、両者を無菌状態でブレンドする技術です。開発において、フィルターは極小細菌(ろ過性細菌)の通過リスクがあり、紫外線はカビの滅菌が困難という課題がありました。そこで、紫外線とフィルターをどのような仕様・順番で設置すれば、最も高い無菌性が実現できるのか、パイロットプラントで繰り返し検証を行いました。
 主な工夫点としては、殺菌力の高い中圧UVランプを無菌エリアに初めて導入したこと、そしてフィルターの蒸気滅菌時に過剰な熱がかからないようF0値を用いた滅菌方法を採用したことです。これにより、フィルターを1年間使用しながら、ろ過性細菌を12LRV以上滅菌できるシステムを構築することができました。

○今回の受賞研究が今後清涼飲料業界に与える影響や期待される効果を教えてください。
早川:
 グリーンアセプティック®は、製品液の処方変更が必要になる場合もあるため、現行プロセスからの切り替えには一定の期間を要すると思われます。
 一方で清涼飲料の主原料は水であるため、この水を非加熱で滅菌し、シロップのみを加熱滅菌するプロセスは、CO₂削減と省エネルギーに大きく寄与すると考えています。
 今後、飲料メーカー各社のイノベーションにより、このプロセスに適した新しい処方の開発が進むことを期待しています。当社としても、非加熱滅菌を軸にシロップの最適な滅菌方法を追求し、環境負荷低減と美味しい飲料づくりに貢献してまいります。

全国清涼飲料連合会賞

「緑茶飲料の光劣化機構の解明」

キリンビバレッジ株式会社  塩野 貴史 氏

受賞理由

 本研究は、ラベルレスPETボトルの課題の一つである光劣化に関し、緑茶飲料において光劣化機構を解明し、その劣化成分の生成を抑制する技術を確立したものである。本研究では光劣化臭に起因する成分を特定し、特定の酸化防止剤を添加することにより解決に至ったプロセスや発想力は技術開発を促進する上で重要な要素と考えられ、社会課題の解決と商品品質維持向上の両立に向けた取り組みとして高く評価できる。

 環境配慮のラベルレスPETボトルの更なる拡大につながる技術であり、SDGsや商品開発の観点から、今後の清涼飲料の発展に大いに寄与するものである。

 以上の理由により、本研究を全国清涼飲料連合会賞に推薦する。

インタビュー

○今回の受賞研究で工夫された点や苦労された点を教えてください。
塩野:
 緑茶飲料は清涼飲料の中でも光照射による影響を受けやすく、油臭や生臭い香り、金属様の劣化臭が生じやすいという特徴があります。
 これらの光劣化臭の発生を抑制するためにも、生成機構を解明する必要があると考えられてきましたが、微量成分であることから分析による特定が難しいという課題がありました。
 本研究では、光劣化前後で生じる微量な香気成分を分析することに苦労しましたが、農研機構との共同研究により光劣化臭に寄与する成分を特定することができました。 光劣化臭の寄与成分が特定できたことにより、光劣化臭が脂肪酸の酸化分解によって生じることや、酸化抑制によって光劣化臭の発生も抑制できることを見出しました。

○今回の受賞研究が今後清涼飲料業界に与える影響や期待される効果を教えてください。
塩野:
 近年、プラスチック使用量の削減に向けて、ラベルレスのPETボトル飲料の展開が進んでおり、陳列時の照明などによる光劣化耐性の付与が求められています。
 本研究では、緑茶飲料における光劣化臭の生成機構を明らかにするだけでなく、光劣化臭の発生を抑える光劣化抑制技術も開発しました。
 本研究成果が、清涼飲料における光劣化機構の理解とその対策に向けた一助となるだけでなく、おいしさと環境に配慮したラベルレス化やプラスチック使用量の削減につながることを期待しています。
 キリンビバレッジは、今後も「お客様本位・品質本位」の考え方に基づき、お客様に信頼され、喜んでいただける安全・安心な商品づくりとそれを支える研究開発に取り組んでいきます。

日本清涼飲料研究会奨励賞

「CO₂を食べる自動販売機の開発、CO₂資源循環の取り組み」

アサヒ飲料株式会社  菅沼 剛 氏

受賞理由

 本研究は、自動販売機で大気中の二酸化炭素を回収するとともに、回収した二酸化炭素を資源として循環利用するという独自の発想を応用したテーマである。自動販売機にCO₂吸収技術を実装し、既存のサプライチェーンを使って吸収材を回収・再利用する取り組みを評価した。本研究により、安定した販売ルートである自動販売機を利用した、清涼飲料の消費減少を抑えることに寄与する実現的な技術であり、消費者が最も身近に接する販売網の今後の拡大も期待される。

 CO₂削減の重要性啓蒙、都会に森を作るという新たな価値提案など今後の清涼飲料業界に対して新たな視点を提案していることから、奨励賞として推薦する技術である。

 以上の理由により、本研究を日本清涼飲料研究会奨励賞に値するものとして推薦する。

インタビュー

○今回の受賞研究で工夫された点や苦労された点を教えてください。
菅沼:
 「CO₂を食べる自販機」開発では、世の中に排出されたCO₂を当社ビジネスとして持続可能な体制を構築することに挑戦しました。
 既存アセット(自動販売機・物流網)の有効活用と技術の横展開を意識し、
 吸収したCO₂を建材などに活用する資源循環モデルの構築を通じて、国内脱炭素やサーキュラーエコノミーの実現に取り組みました。
 これら異業種との協業によるスキーム構築には多くの課題があり苦労を重ねました。

○今回の受賞研究が今後清涼飲料業界に与える影響や期待される効果を教えてください。
菅沼:
 従来の「清涼飲料水を販売する機械」から「環境価値を創出する社会インフラ」へと進化させることで、生活者にポジティブな影響をもたらすことを目指しています。
 CO₂を食べる自販機の普及を通じて、脱炭素社会への啓発や行動変容を促し、消費者の環境意識向上に貢献できると考えています。
 また、サーキュラーエコノミーの推進や地域共創にも資する取り組みであり、今後は業界全体での技術横展開や協業による社会実装が進むことで、清涼飲料業界の持続可能性向上と新たな事業機会の創出につながることを期待しています。