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2024年3月25日

 
リサイクルぺットボトルを使用したホットパック製品(清涼飲料水)における
アンチモンの溶出評価について

 一般社団法人全国清涼飲料連合会(会長︓松尾嘉朗)は、リサイクルぺットボトルを使用したホットパック製品(清涼飲料水)におけるアンチモンの溶出評価を実施いたしました。本評価は、一般社団法人全国清涼飲料連合会が2021年に発表した「2030年ボトルtoボトル比率50%宣言」に基づくものであり、この結果を参考にリサイクルペットボトルのホットパック製品への使用が広がることを期待しています。本評価結果をまとめた論文はソフト・ドリンク技術資料202号(4月発行)掲載される予定です。
 
背景と目的
2003年以前の水道水質基準ではアンチモンは0.002mg/L(監視項目)とされていたため、清涼飲料業界はアンチモンの溶出を懸念し、ゲルマニウム触媒を使用したペットボトルをホットパック製品に使用してきた。リサイクルPETにおいても、特定の触媒を用いたペットボトルのみを原料として選別することができず、アンチモン触媒を用いた使用済ペットボトルが原料に含まれてしまうことから、ホットパック製品への使用を控える傾向があった。しかし、2003年及び2014年に相次いで水道法のアンチモン管理目標値が緩和されたことから、一部のメーカーではホットパック製品への導入が開始されており、この動きを加速することによって資源循環をより促進させたいところである。
リサイクルペットボトルのホットパック製品への使用を進めるためにはアンチモンの溶出の懸念を払拭することが必要である。そこで本試験はリサイクルペットボトルのホットパック製品への使用を想定したアンチモンの溶出試験を行い、その結果を公表することで飲料メーカーが安心して採用できる環境を整えることを目的とした。
 
評価結果と結論
ホットパックを想定したサンプルを作成し、そのアンチモンの溶出を評価した。室温1年でのアンチモン濃度は中性飲料サンプル(純水)で0.0009mg/L、酸性飲料サンプル(4%酢酸)では0.001mg/Lであり、食品衛生法や水道法等の国内基準を十分に下回る結果であった。この結果からリサイクルペットボトルをホットパック製品に使用することは十分可能であると考えられた。
アンチモンの溶出量は保管温度、保管時間、内容液の種類、接触表面積等に影響されることが知られており、実際の使用にあたっては、必要な基準を満たすよう、内容液の液性や量、賞味期限、充填条件、ボトルの表面積等に配慮した運用が必要である。特にミネラルウォーター類はその基準値が低いため、十分な注意が必要となる。
一方、自動販売機やコンビニエンスストア等の加温販売を前提とした製品については、リサイクル工程での除染機器に対するFDAやEFSAのNOLは、常温以下の保管を前提としたものであり、加温販売を対象としていないことから、実際の使用条件に即した溶出試験(アンチモンのみならず、リサイクルすることによる汚染物質の確認も必要)による検証が必要である。
本試験結果を参考にリサイクルペットボトルのホットパック製品への使用が広がることを期待する。
 
以上
 
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