ソフトドリンクLIFE
清涼飲料と健康のおいしい話
九州大学大学院 医学研究院 統合生理学助教
高木厚司(たかきあつし)
インフルエンザの予防対策
乾燥した冬の室内はウイルスが繁殖しやすい
1959年生まれ。愛知県出身。1984年九州大学医学部心療内科に入局。専門は、環境生理学、心身医学。2001年に簡易の遺伝子損傷評価法を開発し、「食」「環境」「健康」分野の総合コンサルティング事業を展開。
2004年より(株)TASプロジェクト(TotalAnalysis & Solutions)の代表取締役を兼業。
インフルエンザのニュースが気になる季節になりました。
ところで、インフルエンザの感染に湿度が大き利な繁殖環境になるのです。く影響していることをご存知でしょうか。室温が22℃の場合、空気中に放出されたインフルエンザウイルスの6時間後の生存率は、相対湿度(水蒸気圧/飽和水蒸気圧)が20%のときは66%ですが、これを50%まで加湿すると4%に激減するそうです(Harper,etc.J.Hyg. Camb,1961)。
そして、この相対湿度をm³あたりの水分量(絶対湿度)に換算すると、20%では2g、50%では8gに相当します。一般に、インフルエンザウイルスの生存率は気温の高低には左右されず、この絶対湿度が8g/m³以下になると急激に上昇することがわかっています。つまり、空気中の水分量が減少する冬場は、室内外を問わずインフルエンザウイルスにとても有利な繁殖環境になるのです。
そこでインフルエンザの感染予防対策として、室温が22℃で10m×10m×2m(高さ)(=200m³)の室内空間の湿度を、20%から50%に上昇させるために必要な水分量を計算してみました。その結果、絶対湿度の差から6g×200=1200gとなりました。インフルエンザ感染者のいる部屋で、積極的に蒸気を立てることは、健康管理としても大いに意味があるのです。
冬場でも食事以外に1リットルほどの水分補給を
また、空気中への水分の供給源として無視できないのが、ヒトの体表や呼気からの不感蒸泄です。水分蒸散量は一人あたり1日で約500〜1000gになるので、冬場でも食事以外に1リットル程度の水分摂取が望ましいといわれています。
参考までに、各室温で8gの水分を含む相対湿度を表にしました。室温が15〜25℃で相対湿度が35〜60%になるので、この数値を加湿の目安にするとよいでしょう。実際に、多人数が集まる建物内の空調の管理基準でも、相対湿度として40〜70%を維持することが望ましいとされています(注)。
加湿の工夫として、たとえば、出張先の暖房のよく効いたホテルでは、浴槽に少量のお湯を貯めておく、寝るときに枕元に濡れタオルを干しておくと、喉や鼻に感じる痛みを和らげるでしょう。またオフィスや自宅では、室内に観葉植物を置いて差し水や霧吹きをするとよいでしょう。
舗装化が進んだ都会では土壌からの水分蒸散が減り、湿度が10%以下になることもしばしばです。冬場の健康管理では、適切な水分摂取と同時に、室内の空気にも水を与えてあげるのがコツかもしれません。
【注】特定建築物の環境衛生管理基準(厚生労働省)
















