清涼飲料の文化史
食文化史研究家・西武文理大学客員教授
永山久夫
縄文人の山ブドウジュース[縄文時代の清涼飲料水]
縄文人は晩期になって、初歩的な農耕をはじめるが、山や海の恵みに依存する比率の方が高かった。自然は巨大な畑みたいなものだったから、体を酷使してまで穀物や野菜を作る必要を感じなかったのである。
縄文人は芸術家ぞろいであり、ストレスも少ない。ごつごつしていて過剰に表現された火焰土器や土偶などを見ると、人生を芯から楽しんでいたことがよく理解できる。
そんな縄文人にとって、秋は待ち遠しい季節だったのではないだろうか。アケビや山ブドウ、ガマズミ、サルナシなど甘味の濃い果物が山ほどとれる季節だからだ。この中でもっとも人気のあったのが山ブドウ。
皮ごとしぼれば即座に縄文ジュース。注口土器やお椀型の土器もたくさん出土しており、ジュース用にも使われた筈だ。樽型土器の底から種子が出ており、ジュースをストックする場合もあっただろう。
そのままにしておけば、天然酵母が繁殖してワインになる時もあったのはまちがいない。山ブドウの赤黒い色素はアントシアニンで抗酸化作用があり、不老長寿にも役立つから、ジュースが大好きで仙人のように長生きした縄文人もいたのではないだろうか。
イラスト:中川 学















