消費者の皆さまへ

季刊広報誌「清飲彩」

ソフトドリンクLIFE
清涼飲料と健康のおいしい話

九州大学大学院 医学研究院 統合生理学助教
高木厚司(たかきあつし)

健康的な体内環境を保つ上でも
多様な成分を含む清涼飲料水を摂りましょう
植物由来の天然成分は多様な機能に満ちている

1959年生まれ。愛知県出身。1984年九州大学医学部心療内科に入局。専門は、環境生理学、心身医学。2001年に簡易の遺伝子損傷評価法を開発し、「食」「環境」「健康」分野の総合コンサルティング事業を展開。
2004年より(株)TAS プロジェクト(TotalAnalysis & Solutions)の代表取締役を兼業。

最近の清涼飲料水は、求められる機能の多様化により、植物由来のさまざまな天然成分を含有した製品が増えてきているようです。注目成分としては、コーヒーに含まれるカフェインやコーヒー酸、お茶飲料に含まれるカテキン類などがその代表ですが、それ以外にも、ブドウの皮に含まれるレスベラトロール、唐辛子のカプサイシン、豆類のイソフラボン、生姜のクルクミンなどがあります。

こういった成分は、本来、植物自身が自らの生存戦略を有利に展開するために、葉や外皮、果実、種子、根などに、生理活性物質として産生・保持しているものです。

しかし、2000年にヒトの全遺伝子コードが明らかになり、個別の遺伝情報の機能解析が進む中で、植物由来の生理活性物質を認識する分子の遺伝子の存在が、次々に明らかになってきました(「植物性成分の生体応答の分子機構」/ 藤村、立花、『化学と生物』、Vol.47, P111|117, 2009)。

その機能は、神経や免疫細胞の賦活、抗アレルギー作用、細胞死の予防、抗酸化(抗老化)作用、がん予防、肝臓代謝の改善、感覚受容器を介したさまざまな代謝機能への影響(たとえば、辛み成分による発汗)など、驚くほどの多様性に満ちています。

機能が高い植物ほど好んで摂取されてきた

一方、ヒトに好まれる成分を産生する機能を備えた植物は、いわゆる「野菜」や「果物」、「香辛料」、「生薬」という有用植物として分類され、人間の目から見て期待される機能が高いものほど安定して栽培され、結果として「共生」という形で種としての生存が担保されるわけです。

つまり、ヒトが長年の食経験の中で、これらの植物(の有効成分?)を、好んで(本能的に?)摂取してきたことには、生物学的に意味があったわけです。

地球上に生育する生物のルーツは、30億年前の原始の海の中で、その構造と機能が遺伝子という設計図に記載される形で誕生しました。もともとは、動物も植物も同じ原始生物の子孫で、どちらも原始の海のミネラル組成を細胞内に保持し、各種の成分を共有しながら(助け合いながら)進化しきているのです。

近年、生物種の多様性が、地球全体の財産であることが注目されています。健康的な体内環境を保つ上でも、多様な成分を含有する清涼飲料水を摂取することは、意味があるのかもしれません。

 

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