消費者の皆さまへ

季刊広報誌「清飲彩」

REPORT-14/内藤聡子の企業探訪
スミダ飲料株式会社 つくば工場

「良い製品は、良い工場から」品質にこだわり、味にこだわりまごころを込めた製品づくり

サワー・カクテルシロップやかき氷シロップを製造・販売し業績を伸ばしているスミダ飲料株式会社。企業理念である「良い製品は、良い工場から」をどのような形で製品づくりに活かしているのか、新工場でお話をうかがいました。


2009 年10 月に本格稼働を開始したつくば工場。多い時で一日に2 万本を製造しているそうです


ラムネの機械が故障して仕方なく始めたシロップ製造

阿部社長にお話をうかがいました。創業当時のお話にはびっくりするようなエピソードも

今回訪問するのは、スミダ飲料株式会社(以下スミダ飲料)さん。ソフトドリンクをはじめ、サワー・カクテルシロップなどの割材飲料や、かき氷シロップなどを展開する東京墨田区の企業です。2007年にはユニクロの企業コラボTシャツとして取り上げられたこともある会社なんですよ。ご存じでしたか?
今回は、昨年10月から茨城県土浦で本格稼働を始めた「つくば工場」にうかがい、会社のあゆみや商品づくりについてお話を聞かせていただきました。

スミダ飲料の創業者が商売を始めたのは明治の終わりから大正の初めあたりだそうで、そこから計算すると100年近くの歴史をもつ老舗です。「当時はサイダーやラムネを中心とした商品を製造・販売していたと亡くなった先代から聞いたことがあります」(スミダ飲料・阿部豊社長)

下町のラムネ屋として戦争をなんとか乗り切ったスミダ飲料ですが、その直後、ラムネを作っていた大切な機械が壊れてしまいます。戦後すぐのことでしたから、機械を直すお金も、新しい機械を買うお金もありません。そこでいろいろと悩んだ末、工場にある道具を使い、手作業で製造できるシロップの販売に切り替えたのだそうです。戦後ほどなくして、日本経済は急成長を遂げます。外食産業もその波に乗り、規模を拡大していきました。新しい飲料が次々と生まれ、ラムネ一本では商売を続けるのが難しくなっていった時代、スミダ飲料は外食産業向けに各種シロップを製造販売することで、大きく成長することができたのです。

阿部社長は感慨深そうに語ります。
「今になって考えると、ラムネの機械が壊れてしまったことが現在の会社の成功につながっているのかもしれませんね」


軽い、割れない、ワンウェイ紙パックによる「容器革命」

紙パックの導入は「ジュース飲料界に容器革命を起こした」とまで言われているのだそうです

スミダ飲料株式会社 つくば工場売が売り上げを伸ばしたのには、もう一つ大きなきっかけがありました。紙パック容器の導入です。

当初、シロップはガラスびんに詰めて販売していました。ところが、1970年代以降、アメリカから、ピュアパックと呼ばれる紙パック容器が日本に入ってきたのです。
「ある取引先から『今後はびんから紙パックの時代になる!』とアドバイスを受けました。そうは言っても実際に紙パックの商品がどれだけ売れるかわかりませんから、先代は非常に悩んだそうです」(阿部社長)

当時のびんは、今でいうリターナブルびん。中味を詰めて売ったあと、お客様から回収して洗びんし、再び中味を詰めて販売する、ということを繰り返します。回収の手間もかかりますし、重く割れやすい。殺菌のため熱したシロップを詰めてラインに流す間に、ひび割れたり傷ついたりすることもあります。しかし、紙パックにすることでこうしたデメリットはすべてなくなります。

「唯一の欠点は、中味が見えないこと。それだけなんです」(阿部社長)1978(昭和53)年、スミダ飲料は東駒形の工場に紙パックラインを導入しました。容器がびんから紙パックに変わったことで、外食産業からの需要もぐんと増えました。 「保存が便利で冷蔵庫にしまいやすい、取り扱いが便利、業務用としてはコンパクトな500ミリリットルの容器も用意できるなど、紙パックは非常に使いやすい容器です。いろいろな材質の容器が出回るようになっても、わたしは業務用では、紙パックが最終的に残る容器だと思っています」(阿部社長)
現在、スミダ飲料の販売する業務用シロップ容器のほとんどが紙パックです。


小ロット・多品種でスピーディに応える

お客様のさまざまなリクエストに応え、納得のいく味ができあがるまで試作を重ねます

『品質にこだわり、味にこだわった商品を、真心をこめてお客様にお届けする』 スミダ飲料のホームページに大きく書かれている言葉です。この言葉を胸に、スミダ飲料ではさまざまな製品づくりに取り組んでいます。

「自社のオリジナルブランドを販売するだけではなく、お客様からの要望を受けた商品を、小ロットから開発・製造しています。『そのお客様のためだけに』という商品がとても多いんです」(阿部社長)

フットワークの軽さもスミダ飲料の自慢です。
「お客様から依頼を受けたら、スピーディにサンプルを提出することを心がけています。オーダーを受けたら、できる限り短い期間でサンプルをお届けし、そこから、味や飲み心地について打ち合わせを重ね、商品を完成させていくのです」(阿部社長)もう少し甘くしたい、果汁感がほしい、原価を安くできないかなど、さまざまなリクエストをひとつずつ形にしていきます。中には限られた予算で究極のおいしさを追求してほしいというようなリクエストも……。
「とてもハードルの高い注文ですが、それだけにやりがいもあります。お客様から『この値段でよくこの味が出せたね』とおほめの言葉をいただいたときは、非常にうれしいですね」(阿部社長)
こうした商品づくりをしっかりと支えているのが、スミダ飲料の企業理念「良い製品は、良い工場から」です。
この言葉に込められた思いや、こうした企業理念が実際にどのような形で製品づくりに活かされているのかについてうかがいました。


「良い製品は、良い工場から」長年の夢・新工場の完成

スミダ飲料 品質保証部 部長 村澤剛さん 品質保証と申しますと、「原材料・資材」から「製造工程」、「出荷時の品質と衛生」そして「表示や規格書」等お客様が口にされるまでの安心・安全を保証する仕事です。これらの事柄をすべてクリアーして「製品」となります。つくば工場では、「良い製品は、良い工場から」をスローガンに安全・安心な製品がお客様に届けられるよう、社員一同頑張っております。

「メーカーである以上は、製品に万全を期するのは当たり前のことです。しかし、これだけ多品種のものを製造するなかで、その“当たり前”をいかに徹底させていくか。これにつきると思っています。商品によって原料から製造方法まで違いますが、どの商品も安定感をもってお客様に届けたい。こういった気持ちが、この企業理念には込められています」(阿部社長)

つくば工場は、スミダ飲料の長年の夢であった“郊外の専門製造工場”として、2009年秋に完成しました。ぴかぴかな工場内のいたるところで、「良い製品は、良い工場から」という企業理念が実践されています。

夏場、生産量の多い時で、一日15品種を超える製品を製造することがあるそうです。ラインは朝から晩までフル稼働。製品によって材料も作る量も違います。

特に調合室は、添加物、果汁の量、種類など、製品ごとに全く異なる材料を、定められたマニュアルどおりに調合し、ラインに流さなければならないので大忙しです。
「安定した品質の製品を作るためには、一つひとつの製品に対しての製造ルールが守られていなければなりません。まず製品づくりに携わる人間が、そういったルールを守れるようにする。そこから製品づくりが始まると思っています」(阿部社長)

衛生面においても「決められたことを守る」ことを徹底。5Sにはじまり、工場内に出入りする際の衛生管理、資材・原料の品質管理などに取り組み、HACCPやISOといった衛生基準の認証を目指して、工場の体制を強化しているところだそうです。

小ロット・多品種の製造に対して、開発から製造まで、あらゆる段階できめ細かく取り組んでいく。「良い製品は、良い工場から」という言葉が現場のすべてに活かされているわけですね。

大きさの違うタンクが全部で7つあります。写真は、調合室から運ばれてきた材料をタンクのなかで攪拌しているところ

工場長の川嶋恵司さんに工場内を案内していただきました。ラインの見学は初めてなので思わずお話に聞き入ってしまいました

決められたことを守る、ただそれだけのことが、小ロット・多品種を扱う工場では非常に大切なことなのです

小ロット・多品種対応なので、ひとつのラインで一日何種類もの製品を作ることもあります。この日も合計8種類の製品を製造していました

タンクで調合の終わった製品の品質検査をします。細かい数値の違いも見逃しません。こうした検査を箱詰めされるまで何度も繰り返します


工場見学にきた子どもが大人になって口にしてくれたら

「お客様に喜んでいただくことが作る側の喜びになる」と阿部社長。楽しいお話をありがとうございました

スミダ飲料株式会社 つくば工場
所在地:茨城県土浦市紫ヶ丘
落成:2009 年  従業員:20 名
スミダ飲料株式会社
所在地:東京都墨田区東駒形
創業:1947 年  従業員:40 名

最後に、スミダ飲料として「開発してみたい新商品」「チャレンジしてみたいこと」などがあるかどうか、うかがいました。
すると、社長から、
「じつは、そういった“野望”のようなものは特にないんですよ」
というお答えが返ってきました。
「こまごましたことでしたら少しはありますが、5年先のこともわからないようなご時世ですからね。今やっていることを地道に続けて行きたい。新工場を本格稼働し、足元を固めることに専念しています」(阿部社長)

一つひとつにまごころをこめた商品づくりを、こつこつと続けて行く。こうしたものづくりに対する実直さが、創業以来ずっとスミダ飲料を支えてきたのかもしれませんね。

本社のある東京都墨田区では、地域貢献活動に取り組む企業としても知られるスミダ飲料。本社工場では、小学校の工場見学や学生の職場体験の受け入れ、地元の老人ホームへの寄贈なども行っています。

「子ども達と接することで学ぶことも多いです。我々の商品は一般の商品と違って店頭に並ぶことがありません。しかし、こうした外食産業向けの商品が世の中にはたくさん存在していることを教えると、とても驚き、喜んでくれるんです。彼らが大人になったとき、そのことを思い出しながら、我々の商品を手に取ったり、口にしたりしてもらえたらうれしいですね」(阿部社長) 10年後、工場見学にきた小学生がサラリーマンになって、会社帰りにサワーを飲みながら「これ、スミダ飲料ってところで見たやつかなあ……」と懐かしむ。そんな阿部社長の“夢”は、きっとかなうと思います。心に残る商品づくりを、これからもずっと続けてください。


探訪後記

工場の駐車場に着くと、甘いシロップの香りが漂ってきました。子どもの頃かいだことのある、そのなんとも懐かしい匂いは、いくつになってもテンションがあがります。スミダ飲料さんでは「中小企業だからこそ出来るサービス」として、オーダーメイドの商品を少しの数からでも作ってくださるそうです。結婚式のパーティなど大人数が集まるときに、オリジナルの割材をオーダーできたら楽しそうですね!

内藤聡子

内藤聡子 気象予報士。報道番組を中心に、各種イベント司会やCMなど多方面で活躍。現在BSジャパン「カツケン勝間数代経済研究所」にレギュラー出演中。


(撮影/コサイワジュン)

 

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