消費者の皆さまへ

vol.20 WINTER 2010 - p8|季刊広報誌「清飲彩」|のみもの情報館

季刊広報誌「清飲彩」

ソフトドリンクLIFE
清涼飲料と健康のおいしい話

九州大学大学院 医学研究院 統合生理学助教
高木厚司(たかきあつし)

温度感覚と飲みもの—発熱時は水分補給を
冷え症は温かい飲みもので暖まりましょう
インフルエンザなどの高熱は病原生物を排除する反応

1959年生まれ。愛知県出身。1984年九州大学医学部心療内科に入局。専門は、環境生理学、心身医学。2001年に簡易の遺伝子損傷評価法を開発し、「食」「環境」「健康」分野の総合コンサルティング事業を展開。
2004年より(株)TAS プロジェクト(TotalAnalysis & Solutions)の代表取締役を兼業。

地球温暖化の時代とはいえ、1月にもなると毎朝の布団のぬくもりが恋しくなる日が続きます。

一般的に、ヒトの体温は32℃を切ると生命活動レベルが急速に低下し、逆に40℃を超すと、神経や筋肉の細胞破壊が進み、脳性麻痺などの後遺症が発症する原因になります。実際に、寒中水泳での10℃以下の冷水や、42℃を超える熱湯に対する私たちの皮膚感覚は、「冷たい」や「熱い」から、危険情報と認識される「痛い」という侵害感覚に変化します。

一方、インフルエンザなどの重症の感染症にかかったときに、40℃近い発熱が起こるのは、体温を上げることで病原性の微生物を排除しようという合理的な生体防御反応でもあります。したがって、発熱時の解熱剤のむやみな投与は、病原生物の増殖を助長し、症状をより重症化・長期化させるおそれがあります。そこで、特に小児科では、40℃を超すような過度の発熱時以外は、解熱剤の使用を控えるように推奨されています。

もちろんそんなときに重要になるのが、適切な水分摂取です。風邪などの発熱の原因がない場合、体温を1℃下げるには、大人で約500ミリリットルの発汗が必要だと言われています。つまり、40℃まで上昇した体温を36℃まで下げるには、少なくとも2リットル以上の自然発汗が必要となるわけです。枕元には、充分量のミネラルが入った飲みものを置き、皮膚の湿り気が保てる程度に適宜飲用することが必要です。

手のひらを温めると暖かさが全身に伝わる

ところで、温度感覚に関係する症状に、「冷え性」というのがあります。これは、身体の基礎代謝が低下したときに、代謝を亢進させて体温を維持しようとする生体反応のひとつです。実際に、冷え性のヒトの体表血管は収縮し、熱の放散が抑制され、皮膚の温度が低下しています。

そんなときは、身体を暖める成分を含んだ温かい飲みものを摂取することがとても効果的です。その際、温かい飲みもので手のひらの皮膚温度を上げると、その温かさは不思議と全身に伝わります。寒い日の朝、私たちは無意識のうちに吐息を手のひらに吹きかけて暖をとろうとしていますね。

人間は、体温を一定に保つことで、安定した生命活動を維持できるように進化してきた生物種です。皮膚の温度感覚は、適切な飲みものを選択するうえで重要な指標でもあるのです。

 

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