消費者の皆さまへ

季刊広報誌「清飲彩」

REPORT-13/中内藤聡子の企業探訪
日本たばこ産業株式会社 飲料事業部

あらゆる品質にこだわった「JTならではのブランド」を生み出し、育て、高め続ける

1988年、JTを支える柱のひとつとして事業を開始したJT飲料事業部。 グループ全体で掲げる「JTならではのブランド」づくりを目指した商品開発や、徹底した品質管理、地球環境への取り組みについてお話をうかがいました。


おいしく安全な商品をお客様に届けるため、安全管理体制・研究開発・商品開発・衛生管理・品質管理体制の強化に取り組んでいます


事業は違ってもグループ全体でミッションに取り組む

グループの企業理念からおいしさの秘密までいろいろな話をうかがいました

今回から中村まりさんに代わり、私、内藤聡子が企業探訪のレポーターをつとめます。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回訪問するのは、コミュニケーションネーム「JT」で知られる日本たばこ産業株式会社さん(以下JT)。たばこだけではなく、医薬、そして飲料を含む食品という3つの事業を展開しています。今回は飲料事業部にうかがい、JTグループとしての企業理念や、飲料事業のあゆみ、JTの清涼飲料などについてお話を聞かせていただきました。

JTは企業理念として「JTグループミッション」というものを掲げています。それは、『自然・社会・人間の多様性に価値を認め、お客様に信頼される“JTならではのブランド”を生み出し、育て、高め続けて行くこと』というものです。

「ブランドこそが最大の経営資源であり、お客様に信頼されるユニークなブランドを生み出して、それを育て高め続けていくことがJTグループの使命であるという考えです」(JT飲料事業部企画部長 松田剛一さん)

この理念を実現するため、JTではさらに、『お客様を第一に考え、誠実に行動する』『あらゆる品質にこだわり、進化し続ける』『JTグループの多様な力を結集する』という3つの行動規範“JTグループウェイ”を定め、グループ全体でこれを実行しているのだそうです。

「3つの事業をもち、子会社を含めグループ会社も多数抱えるJTにとって、グループ全体をひとつにまとめる求心力のある理念がほしい、そんな思いから、どんな事業にもわかりやすく浸透しやすい、このJTグループミッションとJTグループウェイが生まれたのです」(松田さん)

事業の内容は違えど、同じ理念を心にそれぞれの部署で「JTならではのブランドづくり」を目指しているというわけですね。


たばこの製造・販売ノウハウを飲料事業でも活かせないか

ハーフタイム発売当時のパンフレットを見せていただきました。懐かしいはずなのに斬新なラインナップで驚きです

JTの前身は日本専売公社。最初はたばこ会社としてスタートしましたが、いつごろどのようなきっかけで飲料事業を開始したのでしょうか。JTの飲料事業のあゆみについてお話をうかがいました。

「1985年、日本専売公社から現在の日本たばこ産業株式会社に民営化されました。その時点で、将来を見据えて多角化を進めていくことになったのです」(松田さん)

飲料事業を始めることになった背景には、自販機の存在がありました。当時、JTは自販機を自社でも製造しており、また、すでにたばこの自販機販売を全国で展開していたため、たばこ自販機の横に飲料自販機も置かせてもらえるのではないか、という読みがあったのです。

また、いろいろな葉をブレンドし、それにフレーバーをつけるというたばこの味作りが、飲料の味作りと似ていることから、たばこの製造で培った技術を飲料でも活かせるのではないかという考えもありました。

「実際に事業を立ち上げてみると、想像していた以上に大変な苦労がありました。それまでたばこしか扱っていなかったわけですから、商品開発から販路の開拓まで、すべて一から始めなければならない。家に帰るひまもなく、夜中の打ち合わせも当たり前の世界だったと聞いています」(松田さん)

しかし、自販機販売をするからには一通りの飲料をすべてそろえようとさまざまな試行錯誤を重ね、88年、炭酸飲料、果汁ジュース、スポーツドリンク、コーヒー、紅茶など当時よく飲まれていた飲料のほとんどをラインナップに加えた「ハーフタイム」というブランドで飲料事業のデビューを飾ったのです。

ハーフタイム発売当時のラインナップ。9種類のドリンクにそれぞれマッチするハーブをブレンドするなど、時代の先端を行く画期的な商品でした

ニアウォーターという言葉がなかった時代、その先駆けとして開発された「桃の天然水」。500ミリリットルペット容器解禁の後押しもあり大ヒットとなりました


一番大切な人に食べてもらいたい「JTならではのブランド」

「ハーフタイム」ブランドには当時としては珍しい、ハーブを使った飲料も加わっていました。ミントやジンジャーといったポピュラーなものだけでなく、ディル、メリッサといった変わったハーブの入った炭酸飲料やジュースも販売されていたのです。さらに96年には「桃の天然水」を発売。ニアウォーターの先駆けとなる商品で、98年に500ミリリットルペットボトル容器で発売されるようになってから爆発的なヒットとなりました。

「JTでしか生み出せないもの、JTでしか育てられないものという視点で商品開発に取り組んできました。また、加工食品部門とともに食品事業全体のスローガンとして『一番大切な人に食べてもらいたい』というものを掲げています。よりおいしく、より安全にという気持ちがこのスローガンにはこめられているんです」(松田さん)

こうしたスローガンに基づき、「食品開発センター」という部署では原料の配分や加工技術の研究が日々おこなわれています。JT独自の製法や素材もたくさん生まれました。その集大成ともいうべきものが、2000年に発売された「ルーツ」です。

缶の基底部にくびれのあるこの容器はウェストウェーブ缶とよばれ、従来の缶に比べ熱効率がぐんとアップしています。加熱時間を短縮し、、短い時間で殺菌することで味と香りの劣化を極力抑えています。これがJTの誇るHTST(高温・短時間)製法です。

コーヒーに加える乳原料にも「ラクトJ」をはじめとするJTが独自に開発した素材を使っています。これらは抗酸化作用を持ち、酸化による香味劣化に強い素材なので、爽やかな乳感を長時間持続させることができるのです。JTならではの高い開発力から生み出された、JTならではのブランド。「ルーツ」は現在、無糖ブラックからカフェオレタイプまで13商品のラインナップを誇るJTの基幹ブランドとなっています。

くびれがポイントのウェストウェーブ缶。加熱しにくい基底部の体積を減らすことで熱効率を高め、殺菌時間を大幅に短縮することができました

2003年から採用された広口ボトル缶は、通常のボトル缶より飲み口の口径が広く、飲むときに香りをより感じやすく設計された容器です

飲料のなかでも大きなマーケットであるコーヒー市場ですが2000年に発売したルーツはそこに大きく食い込みました


商品開発のプロセスに品質管理の工程を組み込む

「一番大切な人に食べてもらいたい」という想いのもとさまざまな項目において厳しい品質検査を重ねます

数々のJTブランドを陰から支える品質保証への取り組みについてもお話をうかがいました。

「2年ほど前、加工食品の部門が生産していた餃子製品で世間をお騒がせしてしまったことがありました。それを契機に、全社一丸となって食の安全管理強化に向けた取り組みをより一層推進してきました。現在は“リスク低減に向けた取り組み”“お客様への対応の強化”“組織・体制の強化”を3つの柱とし、飲料を含む食品事業全体で抜本的な強化策を展開しています」(松田さん)

製品の製造工場だけでなく、原料を作っている工場、倉庫での保管などすべてにわたって定期的に監査を行います。お客様への対応に関しても、365日体制で受け付けられる体制を構築し、いただいたご意見・ご指摘を商品に反映するようつとめています。

また、商品づくりのプロセス自体に、品質を管理し安全性をチェックする体制を組み入れ、それをクリアしなければ商品を開発しないという体制をしいているのだそうです。

当事者だからこその細心の注意、きめ細かい配慮。私たちが安心して口にできるよう大切に製品が作られていることがよくわかります。


たばこも飲料も植物が原料 環境対策で自然への還元を

ごみを「ひろう」という体験を通して、「すてない」気持ちを育てたいという願いから、市民参加型の清掃活動「ひろえば街が好きになる運動」を展開しています。

最近はTVでも毎日のように環境負荷の低減についての話題があがっています。JTグループとしてはどのような取り組みをしているのでしょう。

「環境行動計画というものを作り、京都議定書第一約束期間最終年である2012年に向け、地球温暖化防止および資源有効利用を柱とする環境負荷低減に取り組んでいます」(松田さん)

工場から販売拠点までの輸送距離を減らすよう生産計画を立てる、ペット容器やシュリンクラベルの厚さを薄くし軽量化を図る、配送用のトラックを低公害車に切り替えるなど、原材料調達から製品となり消費されるまでの環境負荷を把握し、原料、エネルギー、水などの資源が効率的に利用できるよう、さまざまな取り組みを行っているのだそうです。

「自販機に関してもエコベンダーと呼ばれる消費電力の少ないものを導入しています。容器の軽量化、自販機の省エネはいまや飲料業界全体の取り組みです。JTでもこうした取り組みには力を入れています」(松田さん)

また、全国8カ所で「JTの森」という活動を行っています。これは自然環境保全活動の一環で、JTグループの社員や家族で、森の植樹をしたり下草の伐採などを行ったりし、年々減少していっている日本の森林を守り育てようというものです。

「私たちの事業は、たばこなら葉たばこや紙、飲料なら茶葉や果物など、自然の恵みによって成り立っています。JTの森は、事業を支えてくれる自然に感謝し、自然環境を大切にしていきたいという想いから始まりました」(松田さん)

社員だけではなく、地元の森林組合や住民の方々などにも協力してもらい、人と人とのふれあいも大切にしながら活動を実施しているのだそうです。みんなが手を取り合って自然の恵みに恩返し。改めて自然環境保全の大切さを感じました。

JTの森鶴岡では山形県鶴岡市内の海岸砂防林を借り受け、09年4月より植林/森林保全活動を行っています。


さらなるルーツブランドの強化とさらなるJTブランドづくり
最後に、今後のビジョンや展望についてお話をうかがいました。

「さまざまな飲料ブランドを展開していますが、基幹ブランドとして販売させていただいている「ルーツ」を、さらに強化していこうと考えています。現在13種類のラインナップがあるのですが、これをより一層強化していく予定です。ラインナップを強化するだけではありません。新しい製造技術の進化、香味のより一層の充実、デザインを含めたコンセプトの洗練など、製造から販売促進までさまざまな角度から強化を図りたいと思っています」(松田さん)

もちろんルーツ以外の商品についても「JTならではのブランド」づくりを目指し、新たな商品開発を続けていくそうですよ。

昨年は酒造メーカーと共同で、国産米を原料に天然水で仕上げた新感覚の炭酸飲料、和素材工房「米づくり」という商品も発売しました(期間限定発売)。お米からつくった炭酸飲料なんて初めて! 皆さんはご存じでしたか? JTでしか生み出せない味、JTでしか育てられないブランド、これからどんな商品が登場するかとても楽しみですね。

消費電力の少ないエコベンダー。夜涼しいうちにフルパワーで飲料を冷やし、電力消費の大きくなる日中は電源を落とすピークカット機能がついたものもあるそうです

日本たばこ産業株式会社
所在地:東京都港区虎ノ門
設立:1985年4月1日


探訪後記

初めての取材先となったJTさん。これまでなんとなく手に取っていた「ルーツ」の缶の形に、コーヒーの香りをいかに残すかという様々なこだわりがあることを知り、取材後にいただいたルーツは、今まで以上に深い味わいがありました。愛煙家ではない私ですが、研究し尽されたフレーバーであるJTの「タバコ」と「コーヒー」の組み合わせは、きっとこの上ない息抜きになることでしょう。

内藤聡子

内藤聡子 気象予報士。報道番組を中心に、各種イベント司会やCMなど多方面で活躍。現在BSジャパン「カツケン勝間数代経済研究所」にレギュラー出演中。


(撮影/コサイワジュン)

 

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