今号では、容器包装における 3R(リデュース、リユース、リサイクル)を中心に、清涼飲料業界の環境保全への取り組みについて、未来を見据えた視点で語り合っていただきました。
[新春対談]公文正人 早見 優
清涼飲料業界における環境への取り組み
(写真左から)
早見 優/聞き手
公文 正人/(社)全国清涼飲料工業会専務理事
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公文 正人 (くもん まさと) |
(社)全国清涼飲料工業会専務理事 1951年生まれ。早稲田大学商学部卒業。1975年サントリー(株)入社。環境部部長などを歴任して、2006年9月から(社)全国清涼飲料工業会に出向、環境部長、2008年5月より専務理事。 |
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早見 優 (はやみ ゆう) |
日本生まれ、3歳から7歳までグアム、7歳から14歳までハワイで育つ。 90年上智大学比較文化学部日本文化学科卒業。82年にデビュー以来、歌手・俳優・DJ等幅広い分野で活躍。92年にはブラジルで行われた地球サミットに NGO団体、地球女性連絡会代表として参加。現在もイベント・トークショー多数参加。 |
1.2009年の清涼飲料市場を振り返って
景気低迷の影響を受け苦戦、炭酸系と紅茶は微増
- 早見
- 昨年は暑い時期から新型インフルエンザが流行り、ワクチンの予防接種が話題になりました。お茶に含まれるカテキンに抗菌作用があると聞きますが。
- 公文
- そうですね。静岡でしたか、小学生がお茶でうがいしているのをニュースで見ました。
- 早見
- 健康維持に役立っていますね。さて、昨年の清涼飲料市場はいかがでしたか。
- 公文
- 昨年は冷夏で、その後も天候不順だったこともあり、前年比でおよそ3%ダウンになる見込みです。やはり天候に四季のめり張りがないと、販売に大きなピークが出てこないですね。
それに加えて景気の低迷。かなり影響が出ました。例えば、一昨年のリーマンショックの後、急に茶葉が売れ始めました。ペットボトルではなく、自宅でお茶を沸かす方が増えたようです。清涼飲料全体では苦戦しましたが、カテゴリー別には、依然健康志向が追い風になり、いわゆる「ゼロもの」の、無糖やカロリーゼロの炭酸飲料と無糖・微糖の紅茶飲料が増加しました。 - 早見
- 経済が低迷すると、健康に気を使うのでしょうか。アメリカではサプリメントがとても売れたようです。私も無糖をよくいただきますが、昨夏はあまり暑くなかったですし、この冬は暖冬ですね。
- 公文
- 自販機をホットに切り替えるタイミングに皆さん苦慮されたようです。
- 早見
- 時期は決まっているのですか。天候に合わせるのですか。
- 公文
- 大体気温20度を切り替えの目安としているので、地域ごとに時期は異なってきます。
- 早見
- 自販機販売にも、不況の影響はありましたか。
- 公文
- 自販機が一番強くあおりを受けました。特に工場やオフィスに設置してあるものは、操業一時休止等の影響で1割以上販売が落ちたところもあります。
2.環境に関する清涼飲料業界の取り組みと成果
3Rはさまざまな市民活動にも支えられている
- 早見
- ここ数年、「エコライフ」というほど、暮らしの中に環境への意識が浸透してきました。
- 公文
- 私たち事業者の活動もありますが、市民の皆さんの新しい動きも出てきています。早見さんも参加されている、キャップを集めてワクチンを送るという…。
- 早見
- エコキャップ活動ですね。私はJCVの「世界の子どもにワクチンを」のサポートをさせていただいています。
- 公文
- キャップでそういう動きがある一方、ペットボトル本体にも新しい動きがあります。少年野球チームがスポーツドリンクをよく飲むので、グラウンド横の倉庫に空いたペットボトルを貯め、一定の量がたまると回集事業者が引き取り、その売却金でAEDを買って寄附をするというものです。千葉と大阪方面で始まっているようです。
キャップは通常、「その他プラスチック」として一緒に集められるのですが、他のものと混ざったプラスチックには値段がつきません。ポリエチレンやポリスチレンなど、単一素材で集まると有価で回り出す。皆さんに協力していただけると、自治体の収集・選別コストも下がり、ワクチンも差し上げられる。資源の循環にも大きなプラスになるというわけです。 - 早見
- 自宅で分別するときは全部仕分けして、プラスチックはプラスチックに、ペットボトルとキャップは別々に集めます。
- 公文
- 自治体がどこまで細かく分別収集できるかも一つのポイントです。きちんと分別収集している自治体から出されたペットのベール(*)はとても高品質なものになっています。
- 早見
- 15年前はこんなにごみのことを考えるとは思いませんでしたが、ACの広告にもあるように、ごみという言葉がなくなり、リサイクルされて資源になればいいと思います。
- 公文
- 環境省が一般廃棄物、ごみの状況報告を公表していますが、総量も1人当たりの排出量も順調に下がってきていますね。
[リデュース]
アルミ、スチール、ペットボトルで軽量化が進む
- 早見
- 結果が伴うと、励みになりますね。それでは、3Rの取り組みについて伺います。
- 公文
- 私たちの3Rの対象は、容器包装、特に容器になります。8つの素材団体が集まった、3R推進団体連絡会とともに活動を推進しています。
まずリデュースですが、8素材すべてに2010年をゴールとした軽量化の目標を設定しています。確実に成果をあげているものと、残念ながらあまりはかばかしくないものがあります。
清涼飲料容器の主流はペットボトルで、容量構成比では63%を占めています。その主な容器サイズ・用途ごとに目標を設定して取り組んでいます。用途とは、耐熱用のボトル、耐圧ボトル、今主流になっている、お茶やミネラルウォーターで使う無菌充填用ボトル。目標は、数量の多い容器8種類で、1本当たり重量をそれぞれ3%下げるというものです。2008年度は、8種類のうち4種類で目標を達成し、削減率の高い容器では11%も軽量化が進んでいます。 - 早見
- アルミ缶やスチール缶もかなり軽くなりましたね。
- 公文
- スチール缶は、2010年度目標の2%軽量化をすでに達成し、アルミ缶も、同目標の1%軽量化に対し、0.8%まで進んでいます。
[リサイクル]
ペットボトル回収率は過去最高の77.9%
- 早見
- 消費者としては、分別排出したものがどうなるのか、気になります。
- 公文
- 容器包装リサイクル協会のホームページで、皆さんが市町村に出したものがどのくらいあって、何にリサイクルされるかを検索できるシステムができ上がりました。
- 早見
- 私たちも、もう少し積極的にホームページを拝見しなければいけませんね。
ところで、ペットボトルの回収率がかなり伸びましたね。 - 公文
- 自治体の数字は環境省から公表されますが、事業系の数字は再商品化事業者へのアンケートで調査しています。今回の大きな回収率の伸びは、今まで回答のなかった事業者が答えてくれたというのが実態です。
- 早見
- 今後も上がる可能性がある、ということですね。
- 公文
- まだ、回答のない事業者がたくさんあります。中国への輸出数量から逆算すると、実態の回収率は84%前後と推定しています。
スチール缶のリサイクル率は88.5%、アルミ缶は87.3%です。ご家庭でごみを出すときに、ペットだけ別の出し方はしないので、この程度にはなるはずです。ただ、輸出されるペットくずの中のボトル由来のものの総量が正確に捕捉しきれていないので、確実なところで77.9%で公表しています。目標は75%でしたから、2年早く達成できました。 - 早見
- エコの部分を大切にしながら、実績も上げなければいけない。なかなか難しいですね。
- 公文
- 難しいところは、最適なリサイクル率の考え方です。無理やりリサイクル率を上げていくと、逆に環境負荷が上がったり、異常にコストがかかったりします。EUの制度では、上限を定めています。
- 早見
- そうなのですか。リユースについてはいかがですか。
[リユース]
リターナブルには一定の成立要件が必要
- 公文
- 今市場の拡大に取り組んでいるリターナブルガラスびんは、地サイダー用の共通びんです。おかげさまで地サイダーが好評ですので、順調に動いています。
もう1つはRドロップス。びん再使用ネットワークとRびんプロジェクトという2つのNPOと共同で「Rドロップス2号」というライン適性の高いリターナブルびんの規格・設計を行いました。 - 早見
- びんもリユースが進むといいですね。
- 公文
- 共用びんをつくって全国に展開できれば、点が線になり回収率も上がって、環境負荷の低い資源循環が可能になります。
一方で、昨年一番大きな問題として、「ペットボトルのリターナブルの推進」がありました。前回の容器包装リサイクル法改正決議の際に、衆参両院の附帯決議事項に上がってしまったのです。
これを受けて、環境省が研究会を立ち上げ、私たちの代表も参加しました。結果として、ペットボトルに本来の中味以外のものを入れると、ガラスと異なり、容器がその物質を吸着してしまい、洗浄しきれず、再充填の際に吸着された物質が溶出してくることが再確認されました。中には許容量の数千倍も検出された物質もあり、中味の安全・安心をペットのリターナブルで維持するのは、困難です。 - 早見
- 難しい問題ですね。
- 公文
- もう1つは環境負荷です。主にCO2の発生量について2つの方法で実験しました。1つは、スーパーの店頭で販売し、デポジット(*)をつけて戻していただく方法。もう1つは生協さんの宅配で、空ボトルを持ち帰る方法です。
店頭販売では回収率が低く、宅配では、90%ぐらいは見込めるという結果になりました。リターナブルで使用するボトルは、資源量の多いやや厚めのもの。もし回収率が50%しかなければ、2回転目では、25%しか容器が戻らない。これでは環境負荷は悪化してしまいます。リターナブルシステム成立の1つの要件として、回収率90%と言われていますが、本当は95%以上欲しいところです。
次は距離の要件。リターナブルの環境負荷は重さと距離が問題になります。今回の研究では、100キロ以上の移動になると、リターナブルよりもワンウェイの方が環境負荷は低く、100キロ以内のクローズドマーケット(宅配)で、95%近い回収ができるという要件が揃えば、リターナブルの方が環境負荷は低いということになりました。
このようにリターナブルには一定の成立要件があり、それが実現できるのは地産地消型の循環で、地サイダーは優等生になり得るわけです。 - 早見
- 環境のことを考えると、必ずしもリターナブルでなければいけない、というわけではないのですね。
新しいリターナブルガラスびん「Rドロップス」の規格・設計を支援
[8団体連携の取り組み]
公共広告機構を通じたリサイクル啓発広告の展開
- 早見
- 8つの容器包装団体があると伺いましたが、共同の取り組みはありますか。ふだんは、独自に活動されているのですね。
- 公文
- 各団体がそれぞれの目標を持って活動していますが、8団体が連携して取り組んでいる活動もあります。先ほどの3Rの実績を、マスコミ向け共同説明会を開催して公表しています。また、自治体を対象にしたフォーラムや、市民を対象としたセミナーも開催しています。
- 早見
- セミナーはどういう形で一般の方に呼びかけるのですか。
- 公文
- 市民団体を中心にご案内していますが、ホームページでも募集をかけています。また、自治体にもお願いして、ごみ減量推進員の方を中心にご案内しています。
- 早見
- このACの広告も、8団体連携の取り組みですか。
- 公文
- はい、今放映されている広告では、「缶」と「ペット」が出てきて、缶は新幹線の部品に、ペットは乗務員の制服に生まれ変わるという夢のある物語を通じて、リサイクルの意義を伝えています。次年度も新たなクリエイティブで継続します。
- 早見
- 楽しみですね。
- 公文
- また、一昨年から3Rリーダー交流会を実施しています。8つの素材団体と、市民団体の皆さんが一緒になって、双方の活動状況を伝え合い、理解したうえで、一緒にできることを検討しています。市民の皆さんに対してどんな啓発ツールを開発できるか、どんな広報を展開していけばいいだろうか。そういうことを継続的にディスカッションし、アクションにつなげています。
- 早見
- 出し方によって、消費者にも伝わり方が違いますね。
3.3R推進に関する今後のビジョン
3R、温暖化対策とともに水資源の保全を進めていく
- 早見
- 先ほどの数字を伺うと、これ以上の実績を出すのはかなり難しいのではないですか。
- 公文
- リデュースでは、今のところ飲料用の紙パックが思うように進んでいません。目標は1%軽量化なのですが、現実には、過去からもう随分と、薄く軽くしてきているので、商品の安全・安心を担保して、かつ軽量化できる容器開発がうまくいってくれることを願っています。
- 早見
- 技術的にギリギリまで、努力されているのですね。
- 公文
- 現在の環境の重要課題はCO2の削減です。1990年の排出原単位を1として、6%の削減を目標にしていますが、現状は1.03で、目標とはまだ9%の差があります。電力会社が獲得した海外の排出権を、実電力のCO2排出係数引き下げに反映してもらえれば何とかゴールインできそうなレベルです。
また、会員各社が今可能な削減対策をやり切った後、次の新たな目標に向け、どんな手段があるのか、業界としての次の検討課題も待ち受けています。
最後に、私たちの事業は、水で成り立っていますので、水源を守る活動を、会員各社に推進していただきたい。結果的に、その水源を利用している多くの人にもプラスになり、加えて、水源の森を保全することは、今、大きな問題となっている生物多様性の保全にも非常に有効です。 - 早見
- ありがとうございました。
8団体共同の取り組みの展開例:AC(公共広告機構)2008年度新聞広告
8団体共同の取り組みの展開例:AC(公共広告機構)2009年度広告

















