清涼飲料の文化史
食文化史研究家・西武文理大学客員教授
永山久夫
江戸庶民のハーブティ? [江戸時代の清涼飲料水]
「日常茶飯事」という言葉がある。
日本人にとって、お茶を飲んだりご飯を食べることが、平凡ではあるが幸せな暮らしなのだ。
ご飯と茶が同列な点に注目すべきだろう。
茶というと緑茶とかほうじ茶のように、茶葉を用いた飲み物だけかというと、そうではない。
草木の葉などで作られた特有の風味と若干の薬効性のあるものも「茶」と呼んだ。江戸時代の『本朝食鑑』によれば、世間で用いられているものは桑の葉茶などいろいろあったが、とくに人気のあるのが五加茶(ごかちゃ)と枸杞茶(くこちゃ)。
五加はウコギ(うこぎ科の落葉低木)のことで、若葉は食用にもなりあえ物や炊き込みご飯などにする。葉を干して茶とするが、体力強化に役立ち強壮作用もあるという。中国には五加皮酒(ごかひしゅ)と呼ぶ薬用酒がある。
枸杞は山野に自生するなす科の落葉低木で、その葉を天日乾燥させ、沸かした湯に入れてお茶代わりに服用された。不老長寿の作用や強壮効果があるといわれ、枸杞茶は今でも根強い人気がある。お正月や節分などに祝い茶として飲むのが、熱湯(あるいはお茶)に黒豆、梅干し、昆布などを入れた福茶である。
イラスト:中川 学













