清飲スクエア
地域とのハーモニー(13)
全国の中小企業会員の中には、自治体などと連携して地域独自の清涼飲料を開発している会員社があります。今回は、埼玉県にある有限会社戸田乳業の活動をご紹介します。
地元にこだわる新たな名物作りが結実
秩父市の木・カエデを使ったラムネ誕生

有限会社戸田乳業
埼玉県秩父郡小鹿野町 小鹿野1046-1
TEL:0494-75-0168
地域の天然資源を有効活用して高齢者対策や森林保護にも貢献
カエデの森づくり
推進協議会 会長
町田啓介さん
私たちの活動によって森が元気になるだけでなく、地域の活性化にも一役買えるのですから、大変やりがいがあります」
埼玉県秩父市で「市の木」に指定されているカエデ。市民団体「カエデの森づくり推進協議会」ではカエデの保護や植樹活動を行っている。会長の町田さんは市内で和菓子店を経営、地域の同業者とともに地元のカエデから採取したメープルシロップを使ったお菓子を作って商品化し、秩父の名物に育て上げてきた。「このカエデをもっと活用したい」と町田さんたちが模索する中でたどり着いたのが、葉っぱ。飲料への利用が有効という調査結果を受け、カエデの葉を使ったラムネの開発が始まった。
製造は地域で唯一サイダーを作っている戸田乳業に依頼。1年ほどの試作期間を経て、緑葉と紅葉を材料にした2種類の「かえでのラムネ」が出来上がった。昨秋に緑葉ラムネ240本をテスト販売したところ2日間で完売、本格展開へ手応えをつかんだ。
葉の採取は地域のお年寄りが担う。「高齢者生きがい対策」として、集めてもらった葉を買い取る仕組みだ。さらに、売り上げの一部は域内の森林保護・育成に寄付される。「カエデで秩父をどんどん盛り上げていきたい」と町田さん。地域への思いは高まるばかりだ。
「カエデの森づくり推進協議会」のカエデ植樹には地域の子どもたちも多数参加。その活動には花粉症の原因となる杉を山林から減らす意味も。
カエデの葉を集めるお年寄りたち。「高齢者といってもまだまだ元気な人たちばかり。熱心に葉の採取に取り組んでくれて助かっています」と町田さん。
「かえでのラムネ」は抗酸化作用のあるポリフェノールを含む。テスト販売では「健康に良さそう」と買い求める声が多く聞かれたそうだ。
ラムネの製造を任されたのは、地域とともに歩んできた老舗
有限会社戸田乳業
取締役社長
戸田喜裕さん
「茶葉化したカエデの葉の配合には苦労しました。本格的に販売されて多くの方々に飲んでいただけるのを楽しみにしています」
もとは酪農業を営んでいたという戸田乳業は昭和8年創業の老舗。主力となる商品は牛乳で、今でもびん牛乳を配達しているほか、近隣エリアでのみ取り扱われるリターナブルびんを使ったサイダーなども製造し、地域に根ざした営業を続けている。
「かえでのラムネ」を作るにあたり、ラムネ工場を地域で一軒残す同社に町田さんたちが製造を依頼したのは自然な流れだった。3代目社長の戸田さんは、地域の新たな特産品を作りたいという趣旨に賛同、さっそく試作に取りかかった。カエデの葉がもつ独特なクセを風味として、いかに活かすか抑えるかなど、味や香りについて試行錯誤を重ね、ついに昨夏「かえでのラムネ」は完成。すっきりとして飲みやすい、戸田さんも納得の仕上がりになった。試飲会で好評を得て、満を持して物産店で行ったテスト販売ではまたたく間に売り切れ、まずは順調な滑り出しを見せた。
「これからも地元密着でやっていきます」と気負う様子もなく語った戸田さん。その言葉に、会社が長い歴史の中で築き上げてきた、地域との確かな絆を感じ取れた













