消費者の皆さまへ

季刊広報誌「清飲彩」

ソフトドリンクLIFE
清涼飲料と健康のおいしい話

九州大学大学院 医学研究院 統合生理学助教
高木厚司(たかきあつし)

適切な運動強度と水分補給を心がけ“スポーツの秋”を楽しみましょう
血液は1分足らずで身体を一巡り

1959年生まれ。愛知県出身。1984年九州大学医学部心療内科に入局。専門は、環境生理学、心身医学。2001年に簡易の遺伝子損傷評価法を開発し、「食」「環境」「健康」分野の総合コンサルティング事業を展開。
2004年より(株)TAS プロジェクト(TotalAnalysis & Solutions)の代表取締役を兼業。

私たちの身体の中には、体重の約8%の血液が存在しています。血液は、酸素や栄養を身体の隅々まで送り届けると同時に、不必要になった老廃物を末梢組織から回収し、二酸化炭素は肺から、その他の不要成分を腎臓(尿)や肝臓(胆汁)から排泄しています。

例えば、体重60kgのヒトの場合、循環する血液は約5リットル。両手のこぶし大の心臓は、1回の収縮で約100ミリリットルを拍出するので、すべての血液は1分足らずで身体を一巡りしています。

さらに、心臓の仕事量を「拍出される血液量」で換算すると、24時間(約10万回の心拍)でなんと、1万リットル(10トン)の拍出量になります。その量は、標準的な風呂桶の湯量(250リットル)の40杯分、水洗トイレ1回の水量を5リットルとすると2000回分になります。

心拍数は健康のバロメーター

ところで皆さんは、病院などで血圧を測る時に心拍数を気にしたことはありますか? 高血圧の基準はよく知られていますが、適正な心拍数にはあまり関心が持たれていないようです。しかし、安静時の心拍数が100を超える時は、何らかの病的状態が推測されます。

その原因の1つが脱水です。高齢者の方で食事量が減ったり、下痢や嘔吐、出血で体液を喪失した時は、身体は無意識に心拍数を増やすことで、体液不足を解消しようとします。また体液の総量が充分でも、血液のヘモグロビン含量が低い貧血状態の場合も、心拍数を増やすことで必要な酸素を末梢に送り届けようとします。このような時の応急処置としては、水分と同時にミネラルを補充する必要があります。

ところが、安静時の心拍数上昇に加え、手足や顔に浮腫(むくみ)がみられる時は要注意です。心臓のポンプが正常に機能していない状態(心不全)が疑われ、水分摂取を控えなくてはなりません。いずれにしても、安静時の心拍数が100を超える時は、医療機関でその原因を特定する必要があります。

一方、脳卒中や心筋梗塞後のリハビリや運動療法の際の目安の心拍数は、120といわれています。これは、健康人が早歩きや軽くジョギングした時の心拍数です。つまり、心拍数120程度の運動が適度な運動強度ともいえるのです。

特に、高齢者の方がメタボ対策などでスポーツを始められる時の適切な運動強度と水分補給の仕方は、その方の健康状態によってまちまちです。気持ちよくスポーツを続けるためにも、素人判断をせずに、必ずかかりつけ医にご相談下さい。

 

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