消費者の皆さまへ

季刊広報誌「清飲彩」

ソフトドリンクLIFE
清涼飲料と健康のおいしい話

九州大学大学院 医学研究院 統合生理学助教
高木厚司(たかきあつし)

必携・蒸し暑さ対策―飲料水とともに団扇や扇子を使って体温調節しましょう
汗の蒸散速度が落ちると不快指数が上がる

1959年生まれ。愛知県出身。1984年九州大学医学部心療内科に入局。専門は、環境生理学、心身医学。2001年に簡易の遺伝子損傷評価法を開発し、「食」「環境」「健康」分野の総合コンサルティング事業を展開。
2004年より(株)TAS プロジェクト(TotalAnalysis & Solutions)の代表取締役を兼業。

私たちの暮らしの快適さに関わる環境情報は、皮膚への感覚刺激(温度、痛み、触覚・圧迫感など)として常に脳に伝えられています。脳は、これらの情報から、今いる環境が自分にとって有利か不利かを「快・不快」といった情動として認知します。そして、もしその生存環境を不快と感じた場合、本能的により快適な環境を得るための行動を選択します。

空調が発達した現在ではあまり使われなくなりましたが、以前は、梅雨時から夏にかけて「不快指数」という言葉をよく耳にしました。この数値は、気温と湿度から大多数の人が本能的に不快と感じる程度を、統計学的に指数化=わかりやすい数値にしたものです。不快指数の求め方にはいろいろあるようですが、2つの温度計を並べて、一方はそのままに、他方の感熱部分を水で湿らせたガーゼで覆い、水蒸散の気化熱による温度低下の程度から、不快度を導き出す方法が一般的です。

温度がある程度高くても、水分(=汗)の蒸散が速いと不快感が少なく、逆に、湿度が高くて蒸散が遅い(進まない)環境だと、気温がそれほど高くなくてもジメジメとした不快さを感じます。私たちも無意識に、団扇や扇子を使って、襟や袖を拡げて体表に風を送りこんで、汗の蒸散を促すような行動を取っていませんか。もちろん、そんな時こそ、発汗を促す清涼飲料水は欠かせませんね。

圧迫された皮膚の反対側から発汗する

ところで、体表からの発汗部位が、皮膚への圧迫刺激の影響を受けていることをご存じでしょうか? じつは、うつ伏せ状態では背中から発汗するのです。仰向けでは胸・腹部から、右側臥位(右側を下にして横向きに寝る状態)では左半身から、左側臥位では右半身からの発汗が増えるように自動調節されているのです。

つまり、汗は、常に皮膚への圧迫刺激の反対側で多く起こります。これは、鼻詰まりの解消にも応用できます。右の鼻が詰まったときは左側臥位に、左の鼻の場合はその逆に寝ると、鼻の通りがよくなるのです。

人間が快適さを求める本能行動や自律反射は、このようにとても合理的にできています。夏風邪をひいたときなどは、ちょっと知っていると便利ですね。

これからの季節、たとえば、不快指数表示とその表示に連動するタイマー式送風機付きの自販機があれば、ひとときの涼(快適さ)をお届けする複合サービス機として、おもしろいかもしれませんね。

 

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