ソフトドリンクLIFE
清涼飲料と健康のおいしい話
九州大学大学院 医学研究院 統合生理学助教
高木厚司(たかきあつし)
これからの穏やかな季節は飲み物を手に、外に出てみませんか
春から夏にかけては「どれだけ飲むか」が重要
1959年生まれ。愛知県出身。1984年九州大学医学部心療内科に入局。専門は、環境生理学、心身医学。2001年に簡易の遺伝子損傷評価法を開発し、「食」「環境」「健康」分野の総合コンサルティング事業を展開。
2004年より(株)TAS プロジェクト(TotalAnalysis & Solutions)の代表取締役を兼業。
南北に長く、平野部から山岳部まである日本では、緯度や標高の差が大きいので、環境温度は50℃近くも変化します。しかし恒温動物であるヒトは、環境温度の大きな変化に対して発汗などの体温調節がうまくできない場合に、さまざまな自覚症状(危険信号)が現れます。
その対策として、衣服やエアコンなどによる体表や室内温度の調整が重要ですが、最近では、地球温暖化対策のウォームビズ(11月から3月まで)では20℃、クールビズ(6月から9月)では28℃が目標の室温とされています。
そこで、飲み物で身体を温めたり、冷やしたりする工夫が改めて注目されています。特に、気温が上昇してくる今頃から夏場にかけては、ある程度の水分量を摂ることが、汗をかいて身体を冷やすためにも必要です。つまり、「何を飲むか」以上に「どれだけ飲むか」が重要なのです。
特に体温調節機能が低下している高齢者は、食事以外に1リットル程度の水分を摂ることが目安です。
温度により味覚(味わい)は変化する
ところで、飲料水にも適温はあるのでしょうか?「おいしい水研究会」(厚生労働省)では、適温を20℃以下としています。多くの試験結果からも、水はおおむね冷やした方が美味しいといわれています。どうやらヒトにとって飲料水は、身体を冷やす役割の方が大きいようです。風呂あがりに、冷えた飲み物を格別に美味しく感じるのも、うなずけます。
さらに温度は、味覚の感度にも影響します。「塩味」と「苦み」は低い温度の方が強く感じ、「甘み」は人肌程度の温度で最も味わいやすいといわれています。また酸味は、冷やした方が美味しい場合と、逆に温めた方が美味しい場合があるようです。同じ組成の飲料であっても、その温度により味わいが変化するのです。「美味しさ」は本能的欲求の裏返しでもあり、大変興味ある研究テーマです。
いずれにせよ、クールダウンしたいときは、冷やした飲料水を少し多めに摂り(クールリフレッシュ)、美味しさを味わいたいときは、温めた飲み物をゆっくり摂る(ホットリラックス)ことがお薦めです。
しばらくはエアコンから開放される季節です。穏やかなこの季節にこそ、飲み物を片手に、戸外で陽の光を浴びることが、健康維持の近道なのかも知れません。














