消費者の皆さまへ

季刊広報誌「清飲彩」

地域の活性化に貢献する地サイダー&地ドリンク
座談会

(写真左から)
友田 諭/[佐賀県](株)友桝飲料 代表取締役社長
早見 優/聞き手
石渡 光一/(社)全国清涼飲料工業会 副会長
市町 峰行/[北海道]株)丸善市町 代表取締役社長

 

今、「地サイダー」「地ドリンク」が注目を集めています。

今号では、全国各地にある、その地域ならではの特色を活かしたユニークな清涼飲料の人気を探るとともに、地元との連携を通じて、地域の活性化に貢献する中小企業会員の取り組みをご紹介します。

早見 優
(はやみ ゆう)
日本生まれ、3歳から7歳までグアム、7歳から14歳までハワイで育つ。 90年上智大学比較文化学部日本文化学科卒業。82年にデビュー以来、歌手・俳優・DJ 等幅広い分野で活躍。92年にはブラジルで行われた地球サミットにNGO 団体、地球女性連絡会代表として参加。現在もイベント・トークショー多数参加。
石渡 光一
(いしわたり こういち)
1936年生まれ。証券会社勤務を経て、67年コクカ飲料入社。
79年社長に就任。
95年にホッピービバレッジ(株)に社名変更。
東京都清涼飲料協同組合理事長などを歴任し、06年に(社)全国清涼飲料工業会副会長・全国清涼飲料協同組合連合会理事長に就任。
地元・赤坂においても、NPO法人赤坂氷川山車保存会理事長として活躍。
市町 峰行
(いちまち みねゆき)
1950年北海道生まれ。
2003年、(株)丸善市町代表取締役就任。
2006年、北海道清涼飲料工業組合理事長就任。
友田 諭
(ともだ さとし)
1975年生まれ。
1998年、九州大学農学部食糧化学工学科卒業。同年、薬品系商社へ入社。
2000年、(株)友桝飲料入社。
2001年、(株)友桝飲料代表取締役就任。

 

1 「地サイダー」「地ドリンク」とは?

地域色を打ち出した商品が「地サイダー」「地ドリンク」
早見
ここ数年、「地サイダー」と「地ドリンク」が大きな注目を集めていますね。全清飲では、「地サイダー」「地ドリンク」をどのように定義されていますか。
石渡
じつは、特別な定義はないのです。地ビールや地酒と同じ表現ですが、その地域の水を含む特産品や観光、歴史的なものなどを活かして、地域色をアピールした商品を「地サイダー」「地ドリンク」と呼んでいます。
早見
よいPRになりますね。
石渡
一企業が地道に取り組んできたものを、自治体や観光協会、NPO、市民団体などの方々に地域おこしの材料として取り上げていただいているのです。
早見
地元のテイストを入れることによって、そこにしかない価値や楽しさが備わりますね。
石渡
まさに、地域に密着した各地の中小企業会員の得意とする事業です。
リターナブルびんも復刻
早見
地産地消ですね。地域の活性化や地元への愛着にもつながりますね。地サイダーでは昨年(2008年2月)、リターナブルびんも開発したそうですね。
石渡
じつは、昔のサイダーびんはリターナブルです。私たちの子供のころから回収して洗浄し、詰めていたのです。世の中が豊かになっていくとともに、忘れられてしまったのです。それが再び今、見直されるようになりました。
早見
限りある資源を大切に、ですね。
石渡
全清飲と全国清涼飲料協同組合が共同で、地サイダー用の共通のリターナブルびんを開発しました。現在、青森県と兵庫県で使用されており、春からは徳島県でも予定されています。これを各地で地域の実状にあわせて採用できるよう努力していきます。
早見
各地で採用が進むといいですね。まだ採用されていない地域では、ガラスびん容器はリサイクルされているのですか。
石渡
飲料容器として使用されるガラスびんには大きく分けて2種類あり、1回限りの使用を前提として作られるワンウェイびんと、洗浄して繰り返し使用されるリターナブルびんがあります。
ワンウェイびんは、販売店の店頭や自治体の分別収集で回収された後、色別に分けられ、細かく砕かれて「カレット」と呼ばれるかけらになります。このカレットがガラスびん工場に運ばれ、新しいびんとして生まれ変わります。ガラスびんの原料に占めるカレットの割合は、2007年度には95.6%に達しています。
早見
ほとんどリサイクルされているのですね。地域への貢献だけでなく、環境への配慮もされていますね。
85品種まで増えた地サイダー・地ドリンク
早見
今、地サイダーと地ドリンクは、どのくらいあるのでしょうか。
石渡
お持ちになっているガイドブックは昨年作ったのですが、それに載っているのは66銘柄。最近のデータでは、85まで種類が増えてきました。
早見
すいぶん増えましたね。ラベルに凝っていたり、面白いものがいっぱいありますね。機会があれば、全部飲んでみたいですね。
石渡
地域から自発的に生まれてくる商品ですから、今後も増えていきますよ。それにこれからは知恵比べです。地域の皆様と連携しながら面白い知恵を出せば売れます。

2 地サイダー・地ドリンクブーム その人気の理由は?

時代のニーズにマッチした魅力
早見
私も小さいときにラムネなど飲んで、今でも懐かしさがあるのですが、地サイダー・地ドリンクがブームになった理由はどこにあると思われますか。
石渡
1つはアイデア商品。地域の特色を生かした、その地域にしかないオンリーワン商品であることが、まず地元の方に支持されています。
早見
ある意味では競合もない、そこにしかないものですね。
石渡
面白いと思えば買ってみようという気持ちになります。
それから、ラムネっていつごろからあるか知っていますか。
早見
いつごろでしょう。私が小さいときにはもうありました。
石渡
幕末にペリーが来たときにあの軍艦に積んであったそうです。
早見
そうなんですか。レモネードがラムネになったというのは聞いたことがありますが。
石渡
もう100年以上前の話ですね。つまり、おのずとレトロなんです。地サイダーも昔飲んだ懐かしい味として、昨今のレトロブームの風潮とあいまって、世代を越えて支持されているのが、もう1つの理由でしょうか。
早見
世の中が便利になった反面、人間が疲れているのかもしれません。懐かしさや癒しを・・・。
石渡
懐かしさ、手づくり感覚ですね。
早見
温かいものを欲しがる時代なのかもしれませんね。
石渡
さらには、自治体や観光協会、NPOの方との連携によって生まれた商品は、地域の町おこしにも微力ではありますが、貢献させていただいています。
それから、3Rの推進という観点から、リターナブルびんの普及やリサイクルびんの使用を積極的に推進しています。こういった点も、社会的ニーズとマッチして受け入れられている理由ではないでしょうか。
早見
環境に対する負荷をできる限り低減することは、大切なことですね。

飲料用ガラスびんとして増えている新しい規格統一びん「R マークびん」。肩にRの文字が入っている。

『地サイダー&地ドリンクガイドブック』

3 事例紹介/地域の活性化に貢献する地サイダー・地ドリンク

[ケース1]特産品のシソを活かした画期的な地ドリンク
早見
先ほど、自治体やNPOの方との連携によって生まれた商品のお話しがありましたが、具体的にご紹介いただけますか。
石渡
今回は、北海道の白糠(しらぬか)町と地元の中小企業会員が 連携した話と、長崎県・福岡県の観光協会と佐賀県の中小企業会員がコラボレーションした話をご紹介します。
市町
私どもは、シソの産地として知られる白糠町の「町おこし」というコンセプトのもと、町役場と連携して地元の名産であるシソを使った「鍛高(たんたか)シャンメリー」「鍛高ラムネ」を開発しました。
早見
町役場と連携されたきっかけは何ですか。
市町
平成18年度に、白糠町という町が近隣と合併をしないことになり、財源を自分たちの町で探さないといけなくなりました。その1つがシソでした。焼酎の「鍛高譚(たんたかたん)」の鍛高は、白糠町の鍛高地域のことです。そこがシソの一大産地なのです。シソで白糠町自体が町おこしをしようと、町営の畑を作り、職員が自分たちで刈り取って、自分たちの工場で搾汁液を作る。シソは夏にできますから、出来上がるのが8月です。その年はラムネに間に合わないので、12月のクリスマス用にシャンメリーでやろうと。名前は地域名からいただいて、「鍛高シャンメリー」としました。
早見
それは赤いのですか。
市町
赤ですが、赤の搾汁液が品薄になって、青ジソもあると言われて・・・。
早見
えっ、青ジソですか。
市町
青ジソと赤ジソがあります。青ジソは白糠町の方が発案したのですが、ちょうどホワイトデーに間に合うからと発売し、大好評でした。今は、青と赤の両方ラインナップしています。
早見
その後に、鍛高ラムネも開発されたのですね。
市町
はい。ラムネも赤と青の両方あります。
早見
町内の学校でアンケートをされたとか。
市町
どのようにPRをしたらいいかと町の方に聞かれて、マスコミと協力していかないとということで、アンケートをやりました。小学校、中学校、高校、大学が地元にあるので、アンケートをとることで製品づくりにも反映できるし、それを新聞、テレビなどにある程度PRして、製品づくりを紹介してもらいました。かなり効果があったと思います。ラムネも当初は3万本売れればと思ったのが、あっという間に17万本売れました。
早見
17万本?
市町
信じられないです。
早見
町おこしに貢献していますね。
市町
微力ながら、貢献させていただきました。白糠町の場合は第三セクターの振興公社が、窓口になっていて、鍛高ブランドの商品の利益は、町に入ります。
早見
なるほど。北海道のお客様のリクエストに応えて、今年も新しいものを開発されたとも聞きましたが。
市町
夕張を元気にする方法はないかと考えて、やはりラムネだろうと。すでに「夕張メロンラムネ」という地ドリンクがあるので、昔炭坑があったことから、「じゃあ、石炭」ということで「夕張石炭ラムネ」を開発しました。
早見
えっ、石炭のラムネですか。いったいどんな味なのですか。
市町
石炭をイメージしたらこんな味ではと、「未知との遭遇」ならぬ「未知の味」というキャッチフレーズで出したばかりです。
早見
苦みがあるのですか。
市町
苦みはライムでつけました。昔から「石炭あめ」というのが北海道にあって、舐めるとスースーします。石炭あめがあるものだから、それにペパーミントを入れて、ペパーミントライムで少々味つけしました。
早見
面白いですね。マスコミの話題をさらうような商品ですね。
旅番組などで、地元の特色あるものを取材したいと探しても、一律化が進んで、地方らしさがなくなってきているのですが、地ドリンクや地サイダーはいい題材ですね。
地元の駅などに置いてあるのですか。
市町
道の駅が全国にありますが、自治体が絡んでいるところもあります。その振興公社で運営している白糠町の道の駅「恋問館(こいといかん)」があり、そこが中心となって販売しました。また、振興公社がスーパーやコンビニに卸すようになりました。
それから「鍛高ラムネ」が売れたのは、本州のスーパーで販売してもらえたこともありますね。本州ではよく「北海道フェア」を開催するのですが、その中にラムネを入れて、PRしてもらったことが大きいです。

鍛高シャンメリー(赤シソ/青シソ)

鍛高ラムネ(赤シソ/青シソ)

[ケース2]地域の歴史・特色を生かした地サイダー
早見
「温泉(うんぜん)レモネード」や「ノコリータ」は、どんなきっかけから誕生したのですか。
友田
雲仙(うんぜん)観光協会の若い理事の方が、お土産屋を営んでいるのですが、地元に帰ってきても温泉せんべい以外、売るものがないと。当時、うちのラムネをそのお土産屋で販売していたこともあり、お土産品の飲み物を作りたいからと依頼がありました。
せっかく作るなら、もっと深く掘り下げましょうと、雲仙ブランド委員会と観光協会の商品会議を定期的に開催し、うちのスタッフと一緒に参加して、半年ぐらいかけて、商品の企画をつくり上げました。
また「能古島(のこのしま)サイダー」や「ノコリータ」は、福岡から北に船で10分ぐらい行ったところに、福岡市民がお弁当を持って観光に行く能古島という島があるのですが、そこの観光協会と開発しました。
早見
「温泉レモネード」のラベルは、レトロでありながらいい雰囲気を感じます。デザインは、何を背景にしているのですか。
友田
専属のデザイナーがいて、お客様の要望を聞いて作成しました。
かつて雲仙は、外国人の避暑地でした。長崎が貿易港なので、外国人が避暑地として来ていた。その中に、ノーベル文学賞を受賞したパール・バックもいました。写真も観光協会の中に残っていましたので、昔の避暑地のイメージを出して、できればパール・バックのイメージを使ったデザインにと。企画をされている観光協会やブランド委員会と一緒に話しながら、こういうイメージでやりたいという点をヒアリングしてイラストに起こしました。
早見
皆さんの声もしっかり聞いていらっしゃるのですね。
友田
地サイダーを作る場合に一番重要なところは、その地域での実際のストーリーであったり、販売エリアの声を聞いて、デザインに落とし込む作業だと思っています。
早見
地元の歴史を打ち出していると、地元の人も誇りを持って進められますね。開発の段階で、苦労されたことはありますか。
友田
観光協会やブランド委員会は企画はできますが、旅館やホテルにどのように取扱ってもらうかというデリバリー機能がないので、そこが問題でした。幸いにも、温泉旅館がつくっている雲仙温泉旅館協同組合で、ティッシュペーパーなど日用品を取扱う物流の会社がありましたので、そこが担当することになりました。さらには、1本当たり幾らかのマージンを雲仙地域のブランド委員会に戻して、次の商品開発の原資にする仕組みができました。とてもいいモデルケースになったと思います。
早見
「ノコリータ」には果汁を使用しているのですか。
友田
はい。能古島でアマナツがとれるのですが、落ちた実を捨ててしまうものがかなりありました。もったいないので、その果汁を使って商品を作りたいと。
一番難しかったのが、果汁を搾ったり、それを原料として使うための前工程がうちにはないので、小さな手で搾る機械を持ち込んで、実をきれいに洗って、皮をむいて手で搾って・・・。
早見
それは大変な作業ですね。文字どおり手作り感がありますね。

温泉レモネード

ノコリータ

4 今後の展望

面白く楽しいものならお客様にも喜んでいただける
早見
今後、地サイダー・地ドリンクは、どのように展開していくのでしょうか。
市町
まだまだ可能性はあります。どのような商品をつくっていくかということだと思います。
早見
もっと地元の特色を出したものが出てくる可能性があるということですね。
石渡
商売というのは遊び心がなければだめですね。面白く楽しくやれば、お客様もそういう気持ちで買っていただける。
市町
シソ入りのラムネも当時は「考えられない」、「どんなのができるんだろう」と言われていましたが、飲めば「案外いけるじゃないか」ということになったのです。最初から「売れないよ、おかしいよ」と言ったら何も作れない。
友田
「自分が買いたい商品」、基本的にそこなのです。私もラムネやサイダーを飲んで育ちましたが、今でも単に飲み物として以上の懐かしさや思い出といったものを一緒に飲んでいます。私が作る「地サイダー」「地ラムネ」も、自分の子供たちが飲んで、大人になっても記憶に残るようなドリンクにしていきたいと思っています。
石渡
お二人の話をお聞きしていると、後継者問題の解決のヒントもあるような気がします。
地域の伝統や歴史を活かした商品、地域の誇りから生まれる商品、そういう商品づくりをして、息子さんやお嬢さんから「跡を継ぐよ」と言ってもらえるようにしていきたいです。
友田
何代も続いているのは、継ぎたいと思う「何か」があるのでしょうね。
市町
やっぱり郷土愛ですね。北海道というのは不景気のどん底にある地域ですが、もう少し元気になれるよう、こんな小さなラムネやサイダーからでもできるんじゃないかというのが根底にあります。そこから生まれたものが地産地消の商品であったりするわけですね。
早見
皆さんの情熱や愛情が1本のびんにあふれていますね。今後どこかで、地サイダーや地ドリンクをいただくときの気持ちが、ちょっと変わると思います。全国の中小企業の皆様の、今後のご活躍を期待しています。
(株)丸善市町
北海道苫小牧市寿町2-1-21 TEL:0144-32-6484
http://www1.ocn.ne.jp/~itimati/index.html
(株)友桝飲料
佐賀県小城市牛津町牛津834 TEL:0952-66-0062
http://www.tomomasu.co.jp

 

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