SD Lab./おもしろ研究室−2
睡眠の質を高める「緑茶」の旨み成分
国立精神・神経センター精神保健研究所
老人精神保健研究室長 白川修一郎
茶を飲むとほっとする…。
それは緑茶に含まれている、旨み・甘み成分であるテアニンのリラックス効果のおかげであることがわかってきました。
睡眠の質を改善する。そんな研究成果もあがっています。
現代人の7割が、睡眠に対して何らかの不満を持っているという調査も
テアニンはアミノ酸の一種で、緑茶の旨みや甘みを感じさせる成分として知られています。緑茶を飲むと「ほっとした」気分になれるのは、このテアニンのもたらすリラックス効果なのです。実はこのテアニン、緑茶飲料だけでなく、無糖炭酸飲料や低果汁飲料などの清涼飲料にも含まれています。
私たちが研究している睡眠に関する研究では、これまで、このテアニンが睡眠に及ぼす影響を実験テーマとして取り上げてきました。
本来、7時間の睡眠をとることが健康にもっともよいと考えられています。ところが最近の全国的な調査によれば、「自分の睡眠に不満がある。何とかしたい」と思っている人は7割にものぼるのです。不満というのは、「寝つきが悪い」、「熟睡できない」、「途中で目覚めてしまう(中途覚醒)」、「悪夢を見る」などがあげられます。特に関東圏の調査では、女性の半数が、睡眠6時間未満であるという結果が出ています。また子供の睡眠不足も大きな問題になっていて、今や”睡眠”は大きな社会問題なのです。
ひとりひとりが生活習慣を改善し、7時間の睡眠時間を確保するよう努力すべきなのでしょうが、そう簡単なことではありません。そこで、短くても質のいい睡眠をとれないかと考え、私たちはテアニンを使った実験を続けています。
食品成分由来のテアニンは身体に安全で睡眠改善に最適です
最新の実験で、20歳〜40歳代でフルタイムで働く有職女性10人に協力を依頼し、テアニンが300ミリグラム含まれる清涼飲料140ミリリットルを、就寝の約1時間前に飲んでもらいました。実はこの「有職女性」というところが大きなポイントで、彼女らはストレスも多く、十分な睡眠をとることができない状況にあることがわかっています。
そして実験の結果、しっかりした睡眠維持作用が認められました。これだけきれいな実験結果が出るのは、食品成分で身体に害のないものとしては、今のところテアニンだけ。中途覚醒がなく、熟眠感が高まっているのです。またストレスによる作用が大きいといわれる悪夢を見る頻度が軽減し、睡眠の質が改善されていることが明らかになりました。
「よく眠れない」のは病気ではないかというイメージが強いせいか、「不眠」は全国民的なテーマであり、多くの人の悩みです。テアニンを含んだ清涼飲料で「睡眠改善」をうたった商品はまだありませんが、テアニンをはじめとする本格的な「睡眠改善効果のある清涼飲料」の研究と商品化は、私たち睡眠研究者の願いでもあるのです。















