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季刊広報誌「清飲彩」

INNOVATION

高効率ガス・コジェネレーション・システム探訪
キリンビバレッジ(株) 湘南工場
都市ガスのコジェネで省エネを実現
CO2の排出量で約9%カット
軽量PETでは環境負荷を大幅に低減

清涼飲料の生産現場では、先進的な省エネへの取り組み例が多く見られる。その代表的なものが「コジェネ」だ。今回は、他業種でもあまり類を見ないという高効率のガスタービン・コジェネレーション・システムを導入し、二酸化炭素の排出を抑えるとともに、軽量PETボトルの開発・導入でも環境負荷を軽減している生産施設を訪ねた。

ガスタービン・コジェネレーション・システムは、消費エネルギー、環境負荷、製造コストの3つすべてを削減するメリットがある

送電損失を減らすとともにクリーンなエネルギー源を採用

キリンビバレッジ(株)湘南工場
環境整備室長 兼 製造担当部長 中山俊一氏

二酸化炭素排出量に換算した清涼飲料業界のエネルギー消費量は、96・5万トン(2004年度)と推計されている。これは産業界全体(経団連に加盟する 35業種)の0・8%に過ぎないが、前号でも紹介したように、全国清涼飲料工業会では、環境負荷低減という観点から、さらなる削減を目指している。 2010年(平成22年)までに、二酸化炭素排出原単位を1990年(平成2年)比で6%削減するのが目標だ。

こうした業界の環境対策および省エネの有効な手段として脚光を浴びているのが、コジェネレーション・システム。生産施設内で自前の発電を行えば、送電に伴う電力損失を大幅に抑えることができる。また、クリーンなエネルギー源とされる都市ガスを燃料にすれば、重油や軽油、灯油を燃やすよりも二酸化炭素の排出量を減らせるという。

さて、今回訪ねたキリンビバレッジ湘南工場では、都市ガスによる高効率のコジェネレーション・システムを昨年10月から本格稼動させ、大幅な省エネとコスト削減を実現している。

「電力会社から送電される購入電力では、結果的に燃料が持っていた20〜30%程度のポテンシャルしか利用できません。一方、当社が採用した高効率ガスタービンによるコジェネでは、都市ガスエネルギーの75〜80%程度を引き出せます。結局、優れた設備を導入できるのなら、自家熱源を持ったほうが省エネを進めやすいし、現在のように原油が高騰する局面では、コストダウンにもつながります」

同工場の中山俊一・環境整備室長兼製造担当部長は、高効率ガスタービンによるコジェネレーション・システム導入のメリットを、このように話す。現在、工場内で消費する全エネルギーのうち、5割弱の電力および約25%の蒸気を同システムから得ている。

二酸化炭素排出原単位で8・7%
エネルギー原単位で8%の改善

湘南工場では、2003年からノンフロン型の冷凍機も導入。中山氏によれば「小型の冷凍機を多列・並列運転したほうが全体のエネルギー効率はよくなる」とのこと

コジェネ導入の結果、同工場ではエネルギー原単位(原油換算)を年間8%、二酸化炭素排出原単位を同8・7%改善させたという。

ここでいう「原単位」とは、生産のエネルギー効率を示す指標のようなもの。つまり、同工場では従来、100リットルの製品を生産するのに100という単位の原油を要していたのが、現在では92単位の原油で製造できるようになったことを意味する。同様に、従来と同じ量の製品を生産する際に排出される二酸化炭素の排出(換算)量が、8・7%減ったということでもある。

「8%台という原単位の削減は、そうそう簡単に実現できる数値ではありません」

以前から、さまざまな環境対策と省エネに取り組んできた苦労のためだろうか、そう話す中山氏の言葉には強い実感がこもっている。確かに10%近くもの効率アップは、現代の製造業では驚異的な数値と言える。また、キリンビバレッジ湘南工場は、年間3千万ケース、量にして34万キロリットルを生産する国内最大級の施設であるため、同社だけでなく、業界全体に与える好影響も小さくない。

ところで、同社が採用したコジェネレーション・システムのもうひとつの特長は「熱電可変型」というところにある(下図参照)。

「発電時にタービンで発生する排熱を蒸気エネルギーとして取り出すことができ、電力が足りないときには、その蒸気の一部をガスタービン燃焼部に注入することで、さらに電力増強が可能になるシステムです。つまり、基礎的なエネルギー効率がよいだけでなく、電力と蒸気の需要に応じて、供給エネルギーのバランスをある程度変更できるという点でも効率的なわけです」

中山氏によると、同様のシステムの導入例は日本でもまだ少なく、他業種でもあまり見られない高効率なものであるという。約3億円強の導入費用に対し、約1億円を独立行政法人・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助でまかなった。

「非常に大きな投資額ですが、企業が環境対策に力を入れて当然の時代。茶かすやコーヒーかすの再資源化など清飲業界はいろんな問題を克服してきていますが、最後に残るのが二酸化炭素の排出量だと思います。それを減らせて、省エネもでき、さらには生産コストの削減にもつながるのですから、コジェネは一石三鳥の環境対策と言えるでしょう」

こう語る中山氏は、その肩書きにあるように、環境整備と製造管理の現場責任者を兼任している。環境対策とエネルギー供給、そして製造工程を総合的な視点からプランできる立場にあるので、「その点では導入に取り組みやすかった」と話す。

また、同社が成功した軽量PETボトルの開発も、工場内に自前の充填ラインに直結したPETボトル成型設備を備え、常温充填方式を採用しているからこそ可能だった側面がある。単なる環境対策にとどまらない、こうした総合的な改善への取り組みが、結果的に業界の環境負荷軽減を大きく推進させるのだろう。

このコジェネレーション設備内で、ジェットエンジンのようなタービンが回っており、そこからの電力と排熱(蒸気)を生産に利用している。エネルギー効率の高さが、最大の特長だ

超軽量PETボトルを開発
生産・輸送・廃棄の全過程で環境負荷が“軽く”なる!

キリンビバレッジ(株)ロジスティックス本部技術部長
執行役員 浜川裕明氏

キリンビバレッジ(株)は、PETボトルの軽量化と自社成型に取り組んできた。「成型済みPETボトルを購入するのは、トラックで空気を運んでいるようなもの」(同社ロジスティック本部技術部長・浜川裕明氏)との考えから、湘南工場において2000年(平成12年)から稼動を開始したPETボトル成型工程を含む製造ラインで、成型前の原型であり、小さくて軽量な「プリファーム」を購入し、成型するようにした。これにより、輸送時の燃料消費および二酸化炭素排出量の大幅な削減を実現した。

さらに「ペコロジーボトル」と名付けた超軽量の2RPETボトルも2003年(平成15年)に開発。従来品に比べてボトル重量を約20g軽量化したこの容器を、2005年(平成17年)から同社主力のお茶飲料に拡大採用している。今後、ほかの飲料でも2RPETボトルにこのボトルをさらに拡大していく予定だ。

「薄くなった分だけ、それを補う工夫が必要でした。キャップを空けたときに中身が飛び出さないよう、手でつかむ部分の厚みを増したり、商品を重ねる輸送時や陳列時に縦方向の荷重に耐えられるよう、形状の加工にも気をつかいました」

浜川氏がこう話すように、ペコロジーボトルは従来品より30%も容器全体の厚みが薄い。それが廃棄時のメリットにもなる。潰すのが容易なので、消費者にリサイクルを促す効果も見込める。

近年の製造業では、原料の採掘から製造、輸送、販売、リサイクル、最終処分までの環境負荷をトータルに評価する「LCA/ライフサイクルアセスメント」という考え方が重視されており、この超軽量ペットボトルでは、それらの各過程で環境負荷のより小さいものとなっている。現在、同社の2RPETボトル1本当りでは、CO2排出量換算で従来品に比べ70gの削減、エネルギー換算では1.1MJ(メガジュール)の削減に至っているという。

右・ペコロジーボトル(右)とその成型前のプリフォーム
左・ペコロジーボトルは、薄いので女性や子どもでも簡単につぶせる

 

 

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