世界の清涼飲料事情
ノンフィクション作家
山根一眞
第3回 大草原に生きるガウチョの栄養補給法?—炭酸飲料〔アルゼンチン〕
南米、アルゼンチンは日本の約七・五倍という広大な国だ。その中部に広がるのが国土の二割を占めるパンパの大草原。そこを馬で走り回るガウチョ(牧童)をやってみたいと、やっとある牧場に潜り込んだ。私は二十五歳になったばかり、若い時代だからこそできた体験だった。
「うちの牧場は小さいから三十キロ四方しかないんだ」と聞かされたが、その面積は佐渡島よりもやや広い。毎日馬に乗ってその牧場の牛や羊の見回りをしたが、広漠とした地平線の「大夕焼け」の美しさが忘れられない。隣近所が集まっての誕生会では、その隣近所がいずれも二〜三百キロ離れていると聞き、唖然。そして食事にも驚いた。毎日、自ら屠った羊の肉とパンのみ。野菜はなくビタミンやミネラル類も、ワインで補っているようだった。といっても、定期的に配達される炭酸水で割った、かなり薄めたワイン風味の炭酸飲料なのである。食間にちょっとだけ飲むマテ茶もあったが、日々口にする主飲料はそのワイン入り炭酸飲料なのである。土地や風土によってはそんな炭酸飲料文化もあるのだ。
イラスト:はらこうへい















