消費者の皆さまへ

季刊広報誌「清飲彩」

清飲スクエア
地域とのハーモニー(6)

地域の“もったいない”が生まれ変わった珍しい柿酢の『みのうサイダー』
全国の中小企業会員の中には、自治体などと連携して地域独自の清涼飲料を開発している会員社があります。今回は、福岡県にある矢野飲料工業所の活動をご紹介します。

矢野飲料工業所
福岡県朝倉市甘木1650
TEL:0946-22-2813

 

“もったいない”を減らすことで名産品と景観を守りたい

耳納連山を背景に、オレンジ色の実が映える柿畑…そんな美しい風景が広がる福岡県耳納連山北麓地方は、古くから質のいい柿の産地として知られる。しかし、傷や虫がついたり柔らかくなった柿は商品にはならず、畑に放置されていた。それを見た『みのうDC』※のメンバが「もったいない。何か作れないかな?」と言ったのがきっかけだった。この“出荷できない柿”で良質な柿酢を作っている農家と出会い、地元のおいしい水でラムネやサイダーを作っている矢野飲料工業の矢野さんの協力を得て、2007年10月、全国的にも珍しい柿酢を使った『みのうサイダー』が誕生した。

「昔ながらの柿農家が、採算が合わずにやめてしまうこともあります。そうなると、柿の新緑や紅葉の美しい景観が失われてしまう。みのうサイダーで柿のおいしさを知ってもらい、農家の生産と地域景観が維持できれば」と代表の和仁さん。売り上げの一部は地域の景観保全に当てられる予定だ。

※ NPO法人みのう地域循環デザインセンター:地域の若手経営者が集まり、地域の景観保全や農業振興などの取り組みを行っている。

NPO法人みのう地域循環デザインセンター理事長
和仁宗憲さん
「これをきっかけに地元の柿を使った商品開発が活発化するといいと思います。素晴らしい景観とともに、是非みのうサイダーを味わってください。」

ほんのりと薄琥珀色に染まった『みのうサイダー』。ラベルはみのうDCのメンバーが耳納連山をモチーフにデザインした。

 

みのうDCの活動の一環、竹林の整備・保全活動。 『みのうサイダー』の売り上げの一部はこうした景観保全活動にも使われる予定。

自然の恵みと人々の熱意が出会い“ここにしかないもの”が生まれた

昔ながらのラムネとサイダーを作っている矢野飲料工業所は、明治創業の老舗工場。その3代目の矢野さんに、みのうDCの和仁さんから「柿酢を入れたサイダーを商品化できないか?」と話があったのが2007年の8月。もともと香りの少ない柿は、加工して“らしさ”を出すのが難しい果物。最初は思うように味が出なかったり、コストや沈殿物と言った心配もあり、試行錯誤の連続だった。だが「家内工業みたいなもので、慣れた人ばかりで目が届く」小さな工場は、短期間で様々な問題を乗り越え、商品デビュー予定の2か月後のイベント前日に、柿の味わい豊かな爽やかなサイダーを創り上げた。

「ここは水がいい。だからおいしいサイダーが作れる。それにこのあたりの柿は日本一だからね。みのうサイダーはここにしかないものなんだ」と言う矢野さん。『みのうサイダー』は地元の自然の恵みと人々の熱意、そして確かな技術に支えられている。

矢野飲料工業所 代表
矢野章夫さん
「これからの観光シーズンに向けて生産が本格化します。おいしいのに商品にならない“もったいない柿”を少しでも減らせればと思います。」

いい水と気心の知れた従業員がおいしいサイダーを作る矢野さんの工場。

 

 

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