サイエンス・エピソード
ノンフィクション作家・宇宙航空研究開発機構嘱託
山根一眞
第4回 開発費2500万円の宇宙炭酸飲料
宇宙ステーションで炭酸飲料を飲むのは大変なことだ。前号で紹介したように、水は宇宙でフシギな挙動を見せるからだ。
もし宇宙で缶入り炭酸飲料の口を開けると何が起こるか。地上のように炭酸ガスが気泡となって出ると思いきや、無重力状態の宇宙では気化した炭酸ガスは液体中にとどまり、一気に大きな泡となる。その泡のパワーで水分が吹き飛ばされるので、きわめて危険なのである。
そこで、宇宙での安全性を考えた炭酸飲料の容器が開発されている。この容器は、飲み口に安全キャップがついており、キャップをはずして口にくわえ、安全ロックを「開」にした後、飲み物を出すレバーを押しながら飲む、という構造なのだそうだ。飲み物の流量調節装置もある大変な装置で、この開発には1年の歳月と2500万円もの開発費がかかったという。いやはや、炭酸飲料は、地球上だからこその楽しみのようです。
イラスト:はらこうへい















